Vol.72 No.4 July 2024
短報
抗菌薬使用集計における時間や人員に関して負担把握の無記名ウェブアンケートをJ-SIPHE(感染対策連携共通プラットフォーム)利用前と後で調査した結果
1)国立国際医療研究センター病院国際感染症センターAMR臨床リファレンスセンター*
2)同 国際感染症センター
要旨
AMR臨床リファレンスセンターでは感染対策連携共通プラットフォーム(Japan Surveillance for Infection Prevention and Healthcare Epidemiology:J-SIPHE)を2019年より稼働した。J-SIPHEでは抗菌薬使用(Antimicrobial Use:AMU)に関する情報の集計アプリケーションを用いることで医事ファイルから抗菌薬使用状況の自動集計が可能である。今回,J-SIPHE参加前後でのAMU集計の負担について現状を把握するためアンケート調査を行った。アンケート方法として,J-SIPHE参加施設(2021年12月13日時点:815施設)を対象に,無記名のWebアンケートを電子メールにて配信した(収集期間:2021年12月13日~2022年1月14日)。なお,J-SIPHEにAMU情報を登録していない施設,参加以前にAMU情報を集計していない施設は解析対象から除外した。アンケートの回収率は45.0%(367/815)であり,そのうち除外条件に該当しない247施設を対象とした。J-SIPHE導入後にAMU情報の集計に要する時間が減少したのは64.4%(159/247),そのうち集計を担当する人員も減少したのは35施設であった。負担軽減にならなかった施設もあったことから,活用方法については継続的な支援が必要であり,引き続き,集計システムを提供することで本来の薬剤耐性対策に注力していけるようサポートしたい。
Key word
J-SIPHE, antimicrobial, antimicrobial resistance, questionnaire, surveillance
別刷請求先
*東京都新宿区戸山1-21-1
受付日
2023年10月17日
受理日
2024年4月4日
日化療会誌 72 (4): 364-370, 2024