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書誌情報

Vol.72 No.5 September 2024

短報

腎機能障害を有するCOVID-19患者におけるレムデシビルの安全性に関する検討

村瀬 大翔1, 2), 段林 正明3), 山田 正実1), 村木 優一4), 高橋 一栄1)

1)大阪府済生会野江病院薬剤科
2)京都薬科大学履修証明プログラム
3)神戸大学医学部附属病院薬剤部
4)京都薬科大学臨床薬剤疫学分野

要旨

 Remdesivir(RDV)は腎機能障害患者には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与が考慮されている。本研究では,Cockcroft-Gault(CG)式を用いた推算クレアチニンクリアランス(Ccr)でRDV投与患者を分類し,安全性を調査した。
 2020年10月から2021年12月にRDVが投与された患者(n=84)を対象に投与前のCcrを用いて3群に分類し,急性腎障害,肝機能障害および白血球減少の発現状況を比較した。Ccrが30 mL/min未満の群(n=10)は急性腎障害の発現の有無で患者背景を比較した。
 Ccrが30 mL/min未満の群は急性腎障害を発現した患者の割合が高かったが,肝機能障害や白血球減少は3群間に差を認めなかった。Ccrが30 mL/min未満の群において急性腎障害を発現したすべての患者は糖尿病の基礎疾患があり,糖尿病が急性腎障害の発現に影響している可能性が考えられた。
 CG式を用いて推算したCcrが30 mL/min未満の患者にRDVを使用する場合,基礎疾患に糖尿病を有している患者は急性腎障害の発現に注意する必要性が推察された。

Key word

remdesivir, COVID-19, renal dysfunction, creatinine clearance

別刷請求先

大阪府大阪市城東区古市1-3-25

受付日

2024年1月29日

受理日

2024年7月3日

日化療会誌 72 (5): 381-385, 2024