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書誌情報

Vol.73 No.S-1 April 2025

総説

グラム陰性菌に対する新規抗菌薬cefiderocolの作用機序

佐藤 剛章1)

1)塩野義製薬株式会社創薬疾患研究所

要旨

 グラム陰性菌のカルバペネム耐性の主要メカニズムには,β-ラクタマーゼによる加水分解,薬剤排出ポンプによる排出,菌体外膜ポーリンチャネルの欠損・変異による膜透過性低下がある。カルバペネム耐性菌に対する抗菌薬の活性は,これらの耐性メカニズムの組み合わせに大きく依存する。カルバペネム耐性Enterobacteralesやカルバペネム耐性Pseudomonas aeruginosaなどの感染症に対して,新規β-ラクタム/β-ラクタマーゼ阻害剤(BL/BLI)配合剤が承認されたが,承認されたBLIはいずれもメタロ型β-ラクタマーゼ(MBL)に対して阻害活性がなく,臨床効果は限定的である。Cefiderocol(CFDC)は他のセファロスポリン系抗菌薬と同様に主にpenicillin binding protein3(PBP3)に結合してグラム陰性菌の細胞壁合成を阻害する。また,CFDCは,鉄イオンと錯体を形成し,細菌の鉄輸送チャネルを利用して菌体内に能動的に取り込まれる特徴を有する。これにより,グラム陰性菌全般に対する活性が大きく改善されるとともに,ポーリンチャネルの欠損や変異による薬剤透過性低下株や,薬剤排出ポンプを過剰産生する株に対しても高活性を維持する。さらに,独自の構造的特徴により,Ambler分類におけるすべてのクラスのβ-ラクタマーゼに対する安定性が改善されている。これらの特性によりMBL産生株を含むカルバペネム耐性菌に対して強い抗菌活性を示していることが大きな特徴である。上記のように,カルバペネム耐性獲得メカニズムのそれぞれを克服するCFDCは,薬剤耐性菌対策において重要な役割を果たす可能性があり,今後必要な患者への使用が進むことで,薬剤耐性菌による感染症の治療に大きく貢献することが期待される。

Key word

cefiderocol, Gram-negative bacteria, antimicrobial resistance, β-lactamase

責任著者連絡先

大阪府豊中市二葉町3丁目1番1号

受付日

2024年11月5日

受理日

2024年12月10日

日化療会誌 73 (S-1): 1-7, 2025