ページの先頭です
ホーム > バックナンバー > 目次 > 書誌情報
言語を選択(Language)
日本語(Japanese)English

書誌情報

Vol.73 No.S-1 April 2025

総説

Cefiderocolのグラム陰性菌に対する非臨床薬効試験成績

山野 佳則1), 三鴨 廣繁2)

1)塩野義製薬株式会社創薬疾患研究所
2)愛知医科大学医学部臨床感染症学講座

要旨

 Cefiderocol(CFDC)はカルバペネム耐性株を含むグラム陰性菌全般に抗菌活性を示すシデロフォアセファロスポリン系抗菌薬である。CFDCは,細菌が有する能動的な鉄取り込み経路を利用して菌体内に侵入する独自の機構で抗菌活性を発揮するため,細菌の鉄取り込み活性の影響を大きく受ける。動物感染モデルにおける薬効と相関するCFDCの最小発育阻止濃度(MIC)を測定するためには,生体内での活性を反映する鉄を欠乏させた培地を用いることが,米国臨床検査標準協会の標準プロトコルにも定められている。
 欧米を中心とした大規模なサーベイランス試験であるSIDERO-WT-2014-2019において90%の菌の増殖を阻止するのに必要なCFDCのMIC90は,グラム陰性菌全般に対して1 μg/mL以下の良好な抗菌活性を示した。また,サブ解析によりmeropenem非感性株に対しても良好な抗菌活性を示した。世界各地から分離したカルバペネム耐性臨床分離株を検査したSIDERO-CR-2014/2016試験では,CFDCは菌種やカルバペネマーゼ型によらず強力な抗菌活性を示した。いずれの試験でもCFDCは既存のセファロスポリン系抗菌薬やβ-ラクタム/β-ラクタマーゼ阻害剤に耐性を示すメタロ型β-ラクタマーゼ産生株に対しても良好な抗菌活性を発揮することが示された。
 PER/VEBやNDMに属するβ-ラクタマーゼがCFDCの感受性低下に関与していると報告されているが,ブレイクポイントを超えてCFDCに耐性を示すには,特定のβ-ラクタマーゼ発現だけでなく鉄輸送経路に関与するシデロフォア受容体遺伝子の発現低下やペニシリン結合タンパク変異など,異なるメカニズムが同時に組み合わさることが必要であると報告されている。

Key word

cefiderocol, in vitro, MIC

責任著者連絡先

大阪府豊中市二葉町3丁目1番1号

受付日

2024年11月15日

受理日

2024年12月23日

日化療会誌 73 (S-1): 8-16, 2025