ページの先頭です
ホーム > バックナンバー > 目次 > 書誌情報
言語を選択(Language)
日本語(Japanese)English

書誌情報

Vol.73 No.S-1 April 2025

総説

カルバペネム耐性グラム陰性菌感染症の治療選択~ガイドラインでの推奨を踏まえて~

土井 洋平1), 原田 壮平2)

1)藤田医科大学医学部微生物学講座・感染症科
2)東邦大学医学部微生物・感染症学講座

要旨

 カルバペネム耐性菌を含めたグラム陰性菌による感染症は今世紀の医療の大きな負担となっているが,幸いなことにカルバペネム耐性菌に対して活性を有する新規抗菌薬の承認が進み,患者の転帰が改善されることが期待される。
 米国感染症学会(IDSA)治療ガイダンスおよび抗微生物薬適正使用の手引きでは,原則としてcefiderocol(CFDC)を含む新規抗菌薬はカルバペネム耐性菌による感染症の治療に優先的に考慮することを提案している。Avibactam/ceftazidime(AVI/CAZ)はKPCやOXA-48産生菌を含むカルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)に対して高い活性をもち,承認国では第一選択薬となっている。カルバペネム耐性Pseudomonas aeruginosaの大部分はAVI/CAZに感性であるが,カルバペネム耐性Acinetobacter baumannii(CRAB)は耐性である。Stenotrophomonas maltophiliaを含むメタロ-β-ラクタマーゼ産生菌に対してはAVI/CAZは単剤では無効でありaztreonamとの併用が必要である。Tazobactam/ceftolozaneはカルバペネム耐性P. aeruginosaの多くに活性を示すが,CRE,CRAB,S. maltophiliaには活性を示さない。Relebactam/imipenem/cilastatinは主にカルバペネム耐性P. aeruginosa,あるいはKPC型カルバペネマーゼ産生CREの治療薬として位置付けられている。CFDCはCREからP. aeruginosa,CRAB,およびS. maltophiliaにいたるグラム陰性菌に対して活性があることが大規模なサーベイランスで報告されている。
 各新薬にはそれぞれ長所と注意点があるため,最新のガイドラインなどを参照しつつ適切かつ合理的に使用していくことが重要である。

Key word

cefiderocol, carbapenems, Gram-negative bacteria, drug resistant bacteria

別刷請求先

愛知県豊明市沓掛町田楽ケ窪1番地98

受付日

2024年11月21日

受理日

2025年1月16日

日化療会誌 73 (S-1): 24-33, 2025