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書誌情報

Vol.73 No.S-1 April 2025

総説

Cefiderocolの実臨床における使用報告

髙橋 聡1), 志馬 伸朗2), 大毛 宏喜3)

1)札幌医科大学医学部感染制御・臨床検査医学講座
2)広島大学大学院医系科学研究科救急集中治療医学
3)広島大学病院感染症科

要旨

 Cefiderocol(CFDC)は3つの国際共同治験(APEKS-cUTI試験,APEKS-NP試験,CREDIBLE-CR試験)においてグラム陰性菌による各種感染症における有効性および安全性が評価され,日本でも2023年に承認されたことでカルバペネム耐性菌による難治性感染症の新たな治療選択肢として期待されている。
 既に欧米を中心とする実臨床でのCFDCの使用に基づく結果として,データベース研究や観察研究,またこれらをもとにしたメタアナリシスが報告されている。米国で実施された多施設共同観察研究であるPROVE研究では,グラム陰性菌感染症に対して実臨床で初めてCFDCによる治療を受けた入院患者を対象とした診療情報が報告された。中間解析では244例を対象とし,臨床的治癒率は64.8%(158/244例),臨床的奏効率は74.2%(181/244例)と3つの国際共同治験の報告と同程度であった。
 CREDIBLE-CR試験においては,原因は明確ではないものの,Acinetobacter baumanniiに感染した被験者の全死因死亡率に違いがみられCFDC群で高かった。カルバペネム耐性A. baumannii感染症に対するCFDC単剤または併用療法を行った患者と,最善の治療を行った患者との有効性を比較するために,2つの独立したグループからランダム化比較試験および観察研究を対象としたメタアナリシスの結果が報告されている。これらの結果ではCREDIBLE-CR試験とは異なり,CFDCで治療された患者の30日全死因死亡率は,最善の治療を受けた患者群と比較していずれも有意に低かった。
 CFDCの国際共同治験では,プロトコールで設定した集団に対する有効性・安全性データしか評価されていないため,実臨床での多様な患者背景での使用方法の情報を含むエビデンスの価値は高い。一方で,患者背景の調整がなされていないなど研究の限界もあるため解釈には注意が必要である。

Key word

cefiderocol, Acinetobacter baumannii, Gram-negative bacteria, carbapenem-resistant, real-world evidence

責任著者連絡先

北海道札幌市中央区南1条西16丁目

受付日

2025年1月21日

受理日

2025年2月10日

日化療会誌 73 (S-1): 54-61, 2025