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書誌情報

Vol.73 No.4 July 2025

短報

気管支鏡検査クリニカルパスの予防的抗菌薬削除に伴う肺炎発症率への影響

塩尻 恭平1), 馬場 安里1), 今村 政信1), 森塚 暁裕1), 藤田 あゆみ2), 田代 将人2), 田中 健之2), 泉川 公一2), 中川 博雄1)

1)長崎大学病院薬剤部
2)同 感染制御教育センター

要旨

 気管支鏡検査は,呼吸器疾患の診断や治療において重要な内視鏡検査である。合併症に肺炎を認めることがあるが,各種ガイドラインでは一般的に予防的抗菌薬は不要とされている。長崎大学病院では2017年にクリニカルパス(以下,パス)の改訂を行った際,抗菌薬適正使用支援チームと診療科で協議のうえ,パスから予防的抗菌薬を削除した。そこで,パス改訂前後での肺炎発症率および予防的抗菌薬の使用動向を調査した。肺炎発症率は,パス改訂前が0.51%(4例),パス改訂後が0.75%(5例)であり,有意差はみられなかった。ただし,パス改訂後も医師の判断で予防的抗菌薬を使用した症例は119例あり,clavulanic acid/amoxicillinの使用が最も多かった。今回の調査より,気管支鏡検査パスで一律に予防的抗菌薬の投与を行うよりも,医師が患者個別に予防的抗菌薬の必要性を判断したうえで使用するほうが,不要な抗菌薬を削減できる点で抗菌薬適正使用に繋がる可能性が示唆された。

Key word

transbronchial lung biopsy, pneumonia, antimicrobial prophylaxis

別刷請求先

長崎県長崎市坂本1-7-1

受付日

2024年12月20日

受理日

2025年3月17日

日化療会誌 73 (4): 329-332, 2025