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書誌情報

Vol.73 No.5 September 2025

原著・臨床

Candida glabrataによる真菌血症発症に関するリスク因子の検討

西 綾香1), 菅原 隆文1), 田中 和行1), 竹本 嘉恵1), 洲山 佳寛1), 植竹 宣江2), 立川 文崇2), 國重 将大2), 竹之内 誠3), 山近 葵4), 北本 真一2), 渡邊 篤1)

1)広島市立広島市民病院薬剤部
2)広島市立北部医療センター安佐市民病院薬剤部
3)広島市立舟入市民病院薬剤科
4)淡海医療センター薬剤部

要旨

 Candida血症は緊急性の高い感染症であり,原因菌に対して感受性のある抗真菌薬の早期開始が望ましい。これまでにアゾール系抗真菌薬に感受性の低いCandida属によるCandida血症のリスク因子として60歳以上,腹部手術後,アゾール系抗真菌薬の使用歴などが海外から報告されている。しかし,抗真菌薬の使用歴のある患者を含んだ研究では,breakthrough感染によるCandida血症を発症する可能性は高い。そこで今回われわれは,抗真菌薬を投与していない患者を対象とし,Candida glabrataを原因菌としたCandida血症発症に関するリスク因子を調査した。また,過去の培養検査とCandida血症の原因菌の関連性を評価する目的で,同一入院期間中の血液以外の培養検査からC. glabrata検出の有無を併せて調査した。その結果,C. glabrataを原因菌としたCandida血症発症のリスク因子は高齢,女性,抗菌薬投与歴のある患者であった。また,C. glabrata以外の菌株によるCandida血症を発症した群と比較して,C. glabrataによるCandida血症を発症した群において同一入院期間中の培養検査からC. glabrataの検出が有意に多かった。以上の結果より,抗真菌薬を投与していない高齢,女性,抗菌薬投与歴のある患者の血液培養検査から酵母様真菌を検出した場合,C. glabrataを原因菌としたCandida血症の可能性を考え対応することが望ましいと考える。また,Candida血症が疑われる患者では,同一入院期間中の培養検査を確認することは原因菌の推定の一助となる可能性がある。

Key word

Candida glabrata, candidemia, fluconazole, risk factor, susceptibility

別刷請求先

広島県広島市中区基町7-33

受付日

2024年11月26日

受理日

2025年4月22日

日化療会誌 73 (5): 361-367, 2025