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書誌情報

Vol.74 No.1 January 2026

原著・臨床

中規模病院における感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)を活用した特定診療科に対する抗菌薬適正使用支援活動におけるカルバペネム系薬の使用量削減効果

五十川 達哉1, 2), 瀬口 優里1), 河野 祥三1)

1)新別府病院薬剤科
2)京都薬科大学履修証明プログラム

要旨

 医療資源が限られる中小病院では,抗菌薬適正使用支援(AS)活動の推進において情報技術の活用が期待されている。しかし,感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)をAS活動に活用した影響を評価した報告はほとんどない。新別府病院では,適正使用につながる可能性があるカルバペネム系薬の使用量削減を目的に,J-SIPHEを活用した施設全体への情報共有に加え,使用頻度が高い診療科への重点的な介入を実施し,その臨床に及ぼす影響を評価した。
 対象は,2021年4月から2023年3月の間に呼吸器内科または消化器内科に入院し,抗緑膿菌注射薬が投与された症例および各診療科における抗菌薬のdays of therapy(DOT)とした。2021年4月から2022年3月を活用前,2022年4月から2023年3月を活用後と定義し,DOTは月ごとで算出した。診療科別に抗緑膿菌注射薬の使用状況(DOT,投与日数,初回選択率,デ・エスカレーション率など)を比較した。
 解析対象は,呼吸器内科では活用前140名,活用後149名,消化器内科では活用前349名,活用後261名であった。カルバペネム系薬のDOTは,いずれの診療科においても活用後で有意に減少し(呼吸器内科:9.2[7.9~11.7]vs. 7.6[6.1~8.1],P=0.033;消化器内科:9.3[7.0~10.1]vs. 3.5[2.8~3.9],P<0.001),カルバペネム系薬の初回選択率が両診療科で有意に減少した(呼吸器内科:65.0% vs. 38.9%,P<0.001;消化器内科:33.8% vs. 15.3%,P<0.001)。一方,投与日数およびデ・エスカレーション率に有意差は認められなかった。
 本研究は,J-SIPHEを活用したAS活動の実施により,医療資源が限られている中規模病院においても,カルバペネム系薬の使用量削減が可能であることを示した。

Key word

medium-sized hospital, J-SIPHE, antimicrobial stewardship, carbapenem

別刷請求先

大分県別府市大字鶴見3898番地

受付日

2025年6月26日

受理日

2025年9月22日

日化療会誌 74 (1): 16-24, 2026