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書誌情報

Vol.74 No.3 May 2026

原著・臨床

尿路由来の血流感染症における血液培養の有用性についての検討

鮎川 英明1, 2), 堀野 哲也3), 高橋 真一1, 2), 新井 由希1, 2), 坂本 和美2), 中村 平2), 佐々木 十能2), 松澤 真由子2), 保科 斉生3), 吉川 晃司2, 3)

1)東京慈恵会医科大学葛飾医療センター薬剤部
2)同 感染対策室
3)東京慈恵会医科大学内科学講座感染症内科

要旨

 尿路感染症は血流感染症を合併する頻度は高いものの,血液培養と尿定量培養の一致率が高いことから,血液培養の採取に慎重な意見もある。そのため,血液培養と尿定量培養の一致率を調査し血液培養の有用性を検討した。2022年5月から2024年4月までに東京慈恵会医科大学葛飾医療センターで血液培養から細菌が分離され,尿路由来の血流感染症と診断された成人症例を対象とした。患者背景,血液培養および尿定量培養の分離菌,血液培養と尿定量培養の一致率を調査し,一致する予測因子について後方視的に検討した。研究対象となった症例は107例で,男性52例(48.6%),年齢中央値は79歳で,基礎疾患で最も多かったのは尿路系悪性腫瘍31例を含む固形腫瘍44例(41.1%)で,次いで糖尿病が28例(26.2%)と多く,カテーテル関連尿路感染症は107例中22例(20.6%)であった。また,血液培養から分離された細菌はEscherichia coliが61例(57.0%)と最も多く,次いでKlebsiella pneumoniae 12例(11.2%)で,血液培養,尿定量培養の結果判明後,107例中66例(61.7%)で抗菌薬が変更された。血液培養と尿定量培養が一致した症例は52例(48.6%)で,多変量解析の結果,尿路の解剖学的異常が血液培養と尿定量培養の不一致群で有意に多かった(p=0.006)。本研究の血液培養と尿定量培養の一致率は既報告と比較して低く,本研究の結果から前立腺生検後の血流感染症,尿定量培養の検体採取時に抗菌薬治療を受けている症例に加え,尿路の解剖学的異常を伴う症例では血液培養の提出が有用と考えられる。

Key word

blood culture, urine culture, bloodstream infection, urinary tract infection

別刷請求先

東京都港区西新橋3-25-8

受付日

2025年7月18日

受理日

2025年12月24日

日化療会誌 74 (3): 412-420, 2026