Vol.74 No.3 May 2026
短報
カルバペネム系抗菌薬の供給制限が選択抗菌薬の抗菌スペクトラムに与える影響:グラム陰性菌菌血症におけるDays of Antibiotic Spectrum Coverageを用いた検討
1)山口大学医学部附属病院薬剤部*
2)同 感染制御部
要旨
抗菌薬の供給制限が抗菌薬適正使用に与える影響については未だ不明な点が多い。近年,抗菌薬使用評価指標として抗菌スペクトラムを考慮したDays of Antibiotic Spectrum Coverage(DASC)が提唱された。本研究では,グラム陰性菌菌血症症例を対象にカルバペネム系抗菌薬の供給制限が選択抗菌薬の抗菌スペクトラムに与える影響をDASCを用いて検討した。解析対象となったグラム陰性菌菌血症症例は制限前(2022年7月から2023年6月)が104例,制限後(2023年7月から2024年6月)は130例であった。制限後のカルバペネム系抗菌薬の抗菌薬使用日数(DOT)は制限前と比較して有意に減少した。DASCの中央値は制限前が347/100 patient-days,制限後は328/100 patient-days,DASC/DOTの中央値は制限前が8.9,制限後は8.5であり,制限前後で有意な差はなかった。本解析から,カルバペネム系抗菌薬の供給制限によって,グラム陰性菌菌血症におけるカルバペネム系抗菌薬のDOTは減少するが,抗菌薬全体のDASCやDASC/DOTは変化しない可能性が示された。
Key word
days of antibiotic spectrum coverage, antimicrobial stewardship, gram-negative bacteria, bacteremia, antimicrobial shortage
別刷請求先
*山口県宇部市南小串1-1-1
受付日
2025年9月18日
受理日
2026年1月21日
日化療会誌 74 (3): 444-449, 2026


