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書誌情報

Vol.74 No.4 July 2026

原著・臨床

入院患者におけるAWaRe分類可視化を用いたNudge理論に基づく電子カルテ介入と抗菌薬使用の変化

奥 龍一1, 2), 柳原 美夏1, 2), 中林 准子1, 3), 高橋 久美子1, 4), 祖田 早苗1), 横山 靖彦1, 5), 羽田野 義郎1, 6)

1)総合病院松江生協病院抗菌薬適正使用支援チーム
2)同 薬剤部
3)同 看護部
4)同 臨床検査部
5)同 外科
6)島根大学医学部附属病院感染制御部

要旨

 2024年度診療報酬改定により導入された抗菌薬適正使用体制加算は外来患者を対象とするが,入院患者における抗菌薬使用の現状把握と課題抽出も重要である。本研究では,電子カルテ上でAWaRe(Access,Watch,Reserve)およびNot Recommended各分類を可視化するNudgeの概念に基づく介入が,入院患者における抗菌薬使用割合および緑膿菌の薬剤感受性に与える影響を検討した。介入内容として,院内採用抗菌薬のAWaRe分類表と抗菌薬適正使用体制加算の概要を紙媒体で周知し,処方オーダー画面にAWaRe分類が表示されるよう設定した。介入時期を2024年5月とし,その前後8カ月間の抗菌薬使用割合の中央値[四分位範囲(interquartile range:IQR)]の変化を評価した。
 その結果,介入後にAccess抗菌薬の使用割合は32.7%から38.0%へ上昇(p = 0.021),Watch抗菌薬は66.1%から61.0%へ低下(p = 0.038)した。Reserve抗菌薬は1.2%から0.8%へ低下したが有意差は認められず(p = 0.370),Not Recommended抗菌薬は0.3%から0.0%へ低下し有意差を認めた(p = 0.001)。緑膿菌の抗緑膿菌薬に対する感受性率は薬剤により変動し,cefepimeおよびtazobactam/piperacillinで有意な低下を認めた一方,カルバペネム系抗菌薬は維持または改善傾向を示した。
 電子カルテ上での表示設定による介入は,抗菌薬適正使用に有用である可能性が示唆された。

Key word

AWaRe classification, electronic medical record, nudge, antimicrobial stewardship team, Pseudomonas aeruginosa

責任著者連絡先

島根県松江市西津田8丁目8-8

受付日

2026年1月21日

受理日

2026年3月26日

日化療会誌 74 (4): 473-481, 2026