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書誌情報

Vol.74 No.4 July 2026

原著・臨床

小規模循環器専門病院において長期間のmeropenem供給停止が院内抗菌薬使用に与えた影響の評価

久保 悠1), 大堀 俊介2), 星 貴薫3), 山田 武宏3)

1)北海道循環器病院薬剤科
2)同 心臓血管外科
3)北海道科学大学薬学部薬学科臨床薬学部門薬物治療学分野

要旨

 北海道循環器病院では,2022年8月に発生したmeropenem(MEPM)の供給停止に伴い,1年6カ月間のMEPMの入荷停止を経験した。MEPMは重症感染症の経験的治療に使用されるため,供給停止による他系統の広域抗菌薬使用量増加や感染症治療アウトカムへの影響が懸念された。抗菌薬適正使用支援チーム(antimicrobial stewardship team:AST)を有さない当院は,95床の小規模循環器専門病院であり,高齢患者が多く誤嚥性肺炎を中心とした呼吸器感染症が多い点,ならびにPseudomonas aeruginosa検出頻度が低い点をふまえた代替抗菌薬の提案が必要であった。
 そこで,カルバペネム系抗菌薬を使用せず治療可能かを症例ごとに医師と感染制御認定薬剤師・抗菌化学療法認定薬剤師(以下,認定薬剤師)が事前協議した。その結果,MEPMの代替薬としてsulbactam/ampicillin(SBT/ABPC)を推奨した症例が多く存在した。本研究では小規模循環器専門病院においてMEPM供給停止前後(Pre群,Post群,各18カ月)での抗菌薬使用状況,薬剤感受性率,および経験的治療として薬剤師が推奨したSBT/ABPC投与患者の治療転帰を後方視的に比較した。
 Days of therapy(DOT;100 bed-days)の中央値は,MEPMが0.9から0となった一方でSBT/ABPCが1.7から3.2へ増加した。
 また,各菌種に対する抗菌薬感受性率や副作用発現率も供給停止前後の期間で有意差は認めなかった。30日死亡率はさまざまなバイアスの影響は否めないものの,Post群で減少した。
 以上より,小規模循環器専門病院という施設背景において,認定薬剤師が代替抗菌薬の推奨を行うことで,MEPM供給停止時の感染症治療の質に大きな影響を与えることなく,診療を継続し得る可能性が示唆された。

Key word

meropenem, carbapenem, sulbactam/ampicillin, days of therapy, empiric therapy

責任著者連絡先

北海道札幌市中央区南27条西13丁目1番30号

受付日

2026年2月4日

受理日

2026年4月30日

日化療会誌 74 (4): 482-491, 2026