Vol.74 No.4 July 2026
短報
新生児および乳児におけるNeoVancoによるvancomycin血中濃度予測の有用性評価
1)市立札幌病院薬剤部
2)同 感染症内科
3)同 新生児内科
要旨
Vancomycin(VCM)の初期投与設計において,日本人新生児および乳児を対象とした個別化投与設計の支援ツールは確立されていない。本研究は,米国の母集団薬物動態モデルに基づいた初期投与設計支援ツール「NeoVanco」を用い,日本人新生児および乳児におけるVCM血中濃度の予測精度を検証した。
対象は2020年1月から2024年12月に市立札幌病院新生児内科に入院し,VCMが投与された新生児および乳児とした。NeoVancoによる予測値と実測値の関連性を回帰分析により評価した。数値は中央値(最小値~最大値)で示した。
対象患児は7例で,VCM投与時の月経後週数は32週(29~35週),体重は1,504 g(1,193~1,711 g),VCM投与直近の血清クレアチニン(SCr)は0.33 mg/dL(0.19~0.93 mg/dL)であった。予測値と実測値の間には強い正の相関が認められた(r = 0.883)。Bland-Altman分析の結果,予測値と実測値の差の平均は0.14 μg/mLであり,SCrが著明に変動した1例を除き,95%一致限界の範囲内に収まっていた。
NeoVancoは日本人新生児および乳児におけるVCMの初期投与設計において,目標血中濃度の達成率向上に寄与する高い予測精度を示した。一方,SCr変動が予想される場合には,新生児や乳児においても早期の血中濃度評価が望ましい。
Key word
vancomycin, neonate, infant, therapeutic drug monitoring, pharmacokinetics
責任著者連絡先
*北海道札幌市中央区北11条西13丁目1-1
受付日
2025年10月3日
受理日
2026年3月11日
日化療会誌 74 (4): 502-507, 2026


