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書誌情報

Vol.74 No.5 September 2026

症例報告

Corynebacterium urealyticum尿路感染症と排尿障害により高アンモニア血症を来した1例

赤星 一恵1), 遠山 泰崇1)

1)大分岡病院薬剤部

要旨

 症例は78歳女性,施設にて意識レベルの低下を認め救急搬送された。採血で血中アンモニア値146 μg/dLを認め,高アンモニア血症による意識障害と診断されて入院となった。入院後,肝臓の器質的疾患,門脈-体循環シャント,脳血管疾患は認めず,尿培養よりグラム陽性桿菌(Corynebacterium様)が検出されたため,ウレアーゼ産生菌による閉塞性尿路感染症を疑いvancomycin(VCM)の投与を開始した。また,患者はパーキンソン病関連うつ病にてparoxetine 15 mgを内服しており,入院3カ月前からは夜間頻尿に対してmirabegron 50 mgが追加されていた。この2剤は尿閉のリスクとなるため,入院後中止とした。その後は血中アンモニア値の改善に伴い意識レベルも改善し,VCMは合計8日間で投与終了した。菌株はCorynebacterium urealyticumであった。
 本症例では,mirabegronによる尿閉とCYP2D6阻害作用を介したparoxetineの代謝遅延が排尿障害の増悪に関与した可能性があると考えられる。排尿障害の基礎疾患や薬剤性排尿障害を有する場合,ウレアーゼ産生菌閉塞性尿路感染症を併発することで高アンモニア血症が悪化する可能性があり,原因薬剤の除去と尿閉の解除,適切な抗菌薬の投与が有用であると考えられる。

Key word

hyperammonemia, urease-producing bacteria, urinary tract infection, drug-induced urinary dysfunction, drug interaction

責任著者連絡先

大分県大分市西鶴崎3丁目7番11号

受付日

2026年2月5日

受理日

2026年5月25日

日化療会誌 74 (5): 556-562, 2026