Vol.74 No.5 September 2026
症例報告
高齢かつ発症後6日目にfavipiravir治療を開始し良好な転帰を得た重症熱性血小板減少症候群の1例―治療開始時点の病態に基づく治療適応判断の重要性―
1)中国中央病院薬剤部
2)同 感染症内科
要旨
重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome:SFTS)は,高齢や発症から治療開始までの期間延長などが予後不良因子とされている一方,治療開始時点の病態が治療効果に及ぼす影響については十分に整理されていない。症例は78歳女性。発症後6日目にSFTSと診断され,favipiravir治療を開始した。入院時に白血球減少,血小板減少,肝酵素およびLDH上昇を認めたが,意識障害や出血症状はなく,CRPは低値であり,著明な凝固異常や多臓器不全は認めなかった。肝予備能は保持されていると判断し,添付文書に基づく標準用量のfavipiravirを投与した。投与中に高尿酸血症を認めたが,febuxostat併用により治療を中断することなく10日間の投与を完遂し,良好な転帰を得た。本症例は,高齢かつ発症後6日目に治療を開始したが,治療開始時点で主要な死亡リスク因子をほとんど満たさない病態であった点が特徴であり,SFTSにおけるfavipiravirの治療適応を病態に基づいて判断する重要性を示唆する症例と考えられた。
Key word
severe fever with thrombocytopenia syndrome, tick-borne disease, favipiravir, elderly, severity
責任著者連絡先
*広島県福山市御幸町大字上岩成148-13
受付日
2025年10月10日
受理日
2026年5月26日
日化療会誌 74 (5): 563-568, 2026


