Vol.52 No.6 June 2004
総説
抗菌薬の副作用とその発現機序―濃度依存的な副作用を中心に―
東京慈恵会医科大学薬理学講座第1*
要旨
近年,多くの抗菌薬が臨床の場で用いられている。それらの多くは,何らかの副作用を有している。副作用は,発現様式から,濃度(投与量)依存的なものと,濃度(投与量)非依存的なものとに大別できる。濃度依存的副作用の中で,その発現機序が確立している(しつつある)ものとして,アミノ配糖体系薬・グリコペプチド系薬の腎障害・耳障害,β-ラクタム系薬・キノロン系薬による痙攣,セフェム系薬によるアンタビュース様作用・出血傾向,キノロン系薬による低血糖などがあげられる。これらは,抗菌薬の有する構造,副作用発現のターゲットなどが明らかとなってきている。ここでは,これらの副作用発現機序をわれわれの成績を含め考察した。
Key word
antimicrobial agents, adverse effect, mechanism
別刷請求先
*東京都港区西新橋3-25-8
受付日
平成16年5月6日
受理日
平成16年5月26日
日化療会誌 52 (6): 293-303, 2004