Vol.52 No.6 June 2004

原著・基礎

MexAB-OprM過剰産生緑膿菌によるマウス肺感染モデルに対するbiapenemの治療効果

高田　利彦^1）, 清水　敦之^1）, 疋田　宗生^1）, 後藤　直正^2）, 西野　武志^2）

^1）明治製菓株式会社感染症研究所^＊
2）京都薬科大学微生物学教室

要旨

　カルバペネム系薬感受性緑膿菌および薬剤排出蛋白質過剰産生緑膿菌を用いてマウス肺感染モデルを構築し，biapenem（BIPM）の治療効果をimipenem/cilastatin（IPM/CS）およびmeropenem（MEPM）と比較した。
　カルバペネム系薬感受性株の感染動物モデルに対する3薬剤の治療効果は同等であり，いずれも高い治療効果を示した。一方，MexAB-OprM過剰産生株に対するBIPMの治療効果は，IPM/CSおよびMEPMに比べて高かった。また，MexAB-OprM過剰産生でかつMexCD-OprJ産生株に対するBIPMの治療効果は，MEPMに比べて高く，IPM/CSとほぼ同等であった。
　カルバペネム系薬感受性株による感染動物モデルを用いて，接種菌量の違いによるBIPMの治療効果をIPM/CSおよびMEPMと比較した。その結果，接種菌量が10⁵ order CFU/lungの場合，BIPM，IPM/CSおよびMEPMの治療効果は同等であったが，10⁶ order CFU/lungでは，BIPMのほうがIPM/CSおよびMEPMに比べて高い治療効果を示した。

Key word

biapenem, Pseudomonas aeruginosa, MexAB-OprM, pneumonia infection model

別刷請求先

^＊神奈川県横浜市港北区師岡町760

受付日

平成16年4月9日

受理日

平成16年5月11日

日化療会誌 52 (6): 304-308, 2004