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書誌情報

Vol.52 No.7 July 2004

原著・基礎

液体培地を用いた自動結核菌感受性測定法に関する検討―従来法およびNCCLS法との比較―

長谷川 美幸1),三次 典男1), 小山 悦子1), 佐藤 弓枝1), 小林 寅てつ1),西園寺 克2)

1)三菱化学ビーシーエル化学療法研究室
2)防衛医科大学校検査部

要旨

 液体培地を用いた抗酸菌検出装置Mycobacteria Growth Indicator Tube(MGIT960®,日本ベクトン・ディッキンソン)に対応した迅速自動結核菌感受性測定kitであるMGIT960 SIRE®(以下MGIT960 SIRE)を従来法である1%小川培地法およびproportion method(NCCLS法)と比較検討を行った。検討薬剤はstreptomycin,isoniazid,rifampicin,ethambutolの4薬剤とし,未治療結核患者から分離したMycobacterium tuberculosis 52株を試験菌株とした。
 感受性成績比較では3法すべてで成績が一致した例は92.3%から96.2%と薬剤により若干異なったものの良好な一致率を示した。isoniazidおよびrifampicinに耐性を示すMultidrug-resistant Mycobacterium tuberculosis(MDR-TB)を疑う株はMGIT960 SIREにおいて最も多く3株(5.8%)認められ,NCCLS法では1株(1.9%),1%小川培地法では検出されなかった。感受性測定所用時間の比較ではMGIT960 SIREは平均7.8日,1%小川培地法は10.1日,NCCLS法では21.0日とMGIT960 SIREは迅速に薬剤感受性成績を得ることが可能であった。
 MGIT960 SIREは国内で多用されている1%小川培地法およびNCCLS法と感受性成績はよく一致し,迅速に結果が得られることから結核菌の薬剤感受性測定に有用である。またMDR-TBの迅速検出が可能となり結核対策に寄与するものと考えられた。

Key word

automatic susceptibility test, liquid medium, Mycobacterium tuberculosis

別刷請求先

東京都板橋区志村3-30-1

受付日

平成16年4月12日

受理日

平成16年5月25日

日化療会誌 52 (7): 371-375, 2004