Vol.52 No.8 August 2004

原著・基礎

近年分離された嫌気性菌に対するfaropenemを含む各種抗菌薬の抗菌力

田中　香お里^1）, 船橋　一照^2）, 梶浦　泰一^3）, 渡邉　邦友^1）

^1）岐阜大学生命科学総合実験センター嫌気性菌実験分野^＊
2）第一サントリーファーマ株式会社医薬情報部
^3）山之内製薬株式会社信頼性保証本部ファーマコヴィジランス部

要旨

　Faropenem（FRPM）の市販後調査の一環として，1998年，2000年，2002年に分離された嫌気性菌（Bacteroides fragilis　計75株，Bacteroides thetaiotaomicron　計64株，pigmented Prevotella spp.　計74株，嫌気性グラム陽性球菌　計75株，およびPropionibactetrium acnes　計75株）を対象に，本薬および経口抗菌薬8薬剤（clavulanic acid/amoxicillin; CVA/AMPC，cefaclor，cefdinir，cefpodoxime，cefditoren，cefcapene，clarithromycin，levofloxacin）とカルバぺネム系注射薬imipenem（IPM）の抗菌力を調査した。FRPM，IPM，CVA/AMPCは，1998年分離株，2000年分離株，2002年分離株ともB. fragilis，B. thetaiotaomicronを含めすべての菌群において強い抗菌力を示し，特にFRPMとIPMは，MIC₉₀が<0.06～4 μg/mLと優れた抗菌力を示した。また，これら2薬剤に対するBacteroides spp.　の高度耐性株は認められなかった。経口抗菌薬としては，FRPMは各菌群に最も強い抗菌力を示した。また，今回行った隔年3回の調査では，FRPMの各菌群に対する抗菌力に，経年的な耐性化傾向は認められなかった。

Key word

faropenem, anaerobe, susceptibility, post-market surveillance

別刷請求先

^＊岐阜県岐阜市柳戸1番1

受付日

平成16年5月27日

受理日

平成16年7月13日

日化療会誌 52 (8): 408-415, 2004