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書誌情報

Vol.52 No.9 September 2004

原著・臨床

消化器外科領域における術後感染予防抗菌薬使用の現状―外科医3,823名に対するアンケート調査―

炭山 嘉伸1), 竹末 芳生2)

1)東邦大学医学部外科学第三講座
2)広島大学大学院医歯薬学総合研究科展開医科学専攻病態制御医科学講座外科学

要旨

 【目的】現在推奨される予防抗菌薬使用法がCDCのガイドラインや「抗菌薬使用の手引き」で勧告されているが,その実施の現状を把握する。
 【方法】2002年8~9月に,47都道府県3,823名(北海道・東北567名,関東1,051名,東海324名,北陸・信越262名,近畿643名,中国・四国495名,九州・沖縄481名)の外科医に対しアンケート調査を実施し,地区別,病院機能別,ベッド数別,臨床経験年数別に勧告に対する実施率を比較した。
 【結果】勧告の実施率は,予防抗菌薬の選択(下部消化管,第二世代セファマイシン)35%,投与時期(術直前)63%,投与期間(4日以内);胃手術63%(3,4日56%+短期7%),大腸手術51%であり,特に予防抗菌薬選択での実施率が低率であった。地区別では東海が長期投与53%と最も高率であった。病院機能別では,長期投与は一般病院44%,教育病院31%と差を認めた。ベット数別では,100床未満の病院は500床以上と比較し術直前投与実施率が低く(45% vs 66%),長期投与が高率(62%,31%)であり,勧告が守られていなかった。臨床経験年数別では,5年未満のほうが20年以上より,薬剤選択(41% vs 34%),投与時期(73% vs 55%),投与期間(68% vs 59%),いずれも推奨されている内容の回答が高率に得られた。
 【結論】勧告の実施率は未だ低率で,一般病院,100床未満,臨床経験年数20年以上でのさらなる啓蒙が必要と考えた。投与期間,下部消化管手術での抗菌薬の選択に関しては,CDCの勧告と大きく異なっており,日本でのrandomized controlled trial(RCT)の実施が望まれる。

Key word

prophylactic antimicrobial agent, colorectal surgery, cephamycin, postoperative infection, questionnaire, survey

別刷請求先

東京都目黒区大橋2-17-6

受付日

平成16年6月7日

受理日

平成16年7月15日

日化療会誌 52 (9): 474-485, 2004