Vol.52 No.9 September 2004
短報
細胞内Mycobacterium avium complexに対するclarithromycinとrifampicinの抗菌活性に及ぼす葛根湯,補中益気湯および十全大補湯の影響
島根大学医学部微生物・免疫学教室
要旨
Mycobacterium avium complex(MAC)による感染症は難治性であり,有効な新規抗菌薬や既存の抗菌薬と免疫調節剤との併用などによる治療レジメンの開発が望まれる。今回はそのような治療レジメンの開発を企図して,宿主免疫能を亢進するといわれている葛根湯,補中益気湯あるいは十全大補湯のTHP-1ヒトマクロファージ株(THP-1 Mφ)およびA-549ヒトII型肺胞上皮細胞株内感染MACに対するclarithromycin(CAM)/rifampicin(RFP)の抗菌活性発現に及ぼす効果について検討した。その結果,CAM/RFPはTHP-1 MφあるいはA-549細胞内のMACに対して有意なレベルの殺菌作用を示したが,他方,各漢方薬単独にはそのような殺菌作用のみならず増殖阻害作用も認め得なかった。さらに,CAM/RFPに各漢方薬を併用した場合でもCAM/RFPの殺菌作用の増強は認められなかった。
Key word
Mycobacterium avium complex, antimicrobial drug, Kakkon-to, Hochu-ekki-to, Juzen-taiho-to
別刷請求先
*島根県出雲市塩冶町89-1
受付日
平成16年7月5日
受理日
平成16年7月23日
日化療会誌 52 (9): 486-489, 2004