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書誌情報

Vol.52 No.9 September 2004

市販後調査

Gatifloxacinの血糖値異常副作用発現に関する調査成績―患者背景およびリスク要因の分析―

玉山 俊行1), 田中 逸2), 斎藤 篤3)

1)杏林製薬株式会社学術部
2)順天堂大学医学部代謝内分泌学講座
3)東京慈恵会医科大学

要旨

 ニューキノロン系薬gatifloxacin(GFLX)を含有するガチフロ®錠は,2002年6月に発売された。
 ガチフロ®錠の発売後,数カ月の間に低血糖あるいは高血糖の副作用が報告され,2003年3月には緊急安全性情報が発出されて糖尿病患者への投与が禁忌となった。
 今回,2003年3月までに報告された重篤な血糖値異常報告症例89例についての調査を行い,得られた患者背景等のデータから血糖値異常のリスク要因を解析した。結果は次のとおりである。
 (1)89例のうち低血糖症例が75例(84.3%),高血糖症例が14例(15.7%)であった。
 (2)糖尿病合併例は低血糖症例で58例(77.3%),高血糖症例で11例(78.6%)と高率であった。
 (3)65歳以上の患者は低血糖症例で68例(90.7%),高血糖症例で10例(71.4%)であった。
 (4)低血糖症例での腎機能異常は,腎機能を判定できた55例中49例(89.1%),高血糖症例でのそれは8例中7例(87.5%)であった。
 以上の結果から,GFLXによる血糖値異常の主なリスク要因として,「糖尿病」,「加齢」,「腎機能異常」が推察された。GFLXによる血糖値異常の副作用を防ぐためには,リスク要因を理解し,添付文書に従って適切に使用することが大切である。

Key word

gatifloxacin, hypoglycemia, hyperglycemia, diabetic, renal dysfunction

別刷請求先

東京都千代田区神田駿河台2-5

受付日

平成16年7月8日

受理日

平成16年8月17日

日化療会誌 52 (9): 521-529, 2004