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書誌情報

Vol.52 No.10 October 2004

総説

漢方と化学療法

山田 陽城

北里大学北里生命科学研究所/大学院感染制御科学府
社団法人北里研究所東洋医学総合研究所

要旨

 漢方薬はしばしば現代医学で治療が困難な疾病に対し一定の治療効果を示すことから,現代医療の中で重要な役割を果たしている。新薬の作用が疾病の原因に対し特異的であることが多いのに対し,漢方薬の作用は患者の全身症状の異常を正常化することを特徴としている。漢方薬は古典の「傷寒論」にあるように感染症の治療にも用いられ,感染の進行度と体の抵抗力の低下に従い異なる処方を使い分けることができる。漢方薬はウィルス性肝炎,インフルエンザウイルス,MRSA,ヘリコバクターピロリ感染など種々の感染症に有効であることが基礎および臨床研究により認められている。その作用は原因菌に対する直接的な作用と免疫調節作用を通じた生体防御作用によることが多い。以上より漢方薬は特に体力の低下した高齢者の感染症の重症化などを予防することが期待される。

Key word

Kampo medicine, Influenza virus, MRSA, adjuvant, malaria

別刷請求先

東京都港区白金5-9-1

受付日

平成16年8月11日

受理日

平成16年8月30日

日化療会誌 52 (10): 547-555, 2004