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書誌情報

Vol.52 No.10 October 2004

原著・臨床

新生児における各種抗菌薬の蛋白結合率

山藤 満1), 佐藤 吉壮2), 岩田 敏3), 秋田 博伸4), 砂川 慶介5)

1)富士重工業健康保険組合総合太田病院薬剤部
2)富士重工業健康保険組合総合太田病院小児科
3)国立病院東京医療センター小児科
4)聖マリアンナ医科大学横浜西部病院小児科
5)北里大学医学部感染症学

要旨

 新生児領域で最も一般的に使われている抗菌薬の蛋白結合率に及ぼすアルブミン量の影響,新生児の在胎週数別,出生体重との相関について検討した結果,ampicillin(ABPC)の蛋白結合率は,アルブミン量に相関せず傾向として成人のそれに比較してやや高値を示した。しかし,他の6薬剤(cefotaxime(CTX),flomoxef(FMOX),ceftazidime(CAZ),cefozopran(CZOP),ceftriaxone(CTRX),aztreonam(AZT))では成人(参考文献比較)に比較して同等もしくは低値であった。また,在胎週数による蛋白結合率を37週未満と37週以上で検討した結果,CTXは37週未満19.7%,37週以上30.2%と有意に37週未満において蛋白結合率が低かったが,他の6薬剤では顕著な差を認めなかった。また,出生体重2,500 g未満の群と2,500 g以上の群の間で蛋白結合率を比較した結果,CZOPでは2,500 g未満で蛋白結合率が有位に高かったが,他の6薬剤では両群間に顕著な差を認めなかった。しかしながら,在胎週数および出生体重別では早産児(在胎週37週未満),低出生体重児(出生体重2,500 g未満)において成人と比較して総じて蛋白結合率は低値を示す傾向が認められた。
 今回検討した薬物の体内動態パラメータ値から,血漿中薬物遊離形分率の上昇はこれら抗菌薬の有効性,安全性には有意な影響を与えるものではないことが推定された。

Key word

neonate, antimicrobial agent, protein binding, serum albumin value, pharmacokinetic parameter

別刷請求先

群馬県太田市八幡町29-5

受付日

平成16年7月27日

受理日

平成16年9月21日

日化療会誌 52 (10): 568-573, 2004