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書誌情報

Vol.52 No.10 October 2004

原著・臨床

新生児における遊離ビリルビン濃度に与える抗菌薬の影響

山藤 満1), 佐藤 吉壮2), 岩田 敏3), 秋田 博伸4), 砂川 慶介5)

1)富士重工業健康保険組合総合太田病院薬剤部
2)富士重工業健康保険組合総合太田病院小児科
3)国立病院東京医療センター小児科
4)聖マリアンナ医科大学横浜西部病院小児科
5)北里大学医学部感染症学

要旨

 新生児領域における遊離ビリルビン濃度に与える抗菌薬の影響について検討した。Ampicillin(ABPC),cefotaxime(CTX),flomoxef(FMOX)の3薬剤は総ビリルビン濃度に対する遊離形ビリルビン分率(遊離ビリルビン比(UB/TB))を増加させ,cefozopran(CZOP),ceftazidime(CAZ)の2薬剤はUB/TBの増加を中等度に増加させたが,ceftriaxone(CTRX),aztreonam(AZT)の2薬剤はほとんど影響を与えなかった。出生体重別の検討では,ABPC,CTX,FMOX,CAZ,CZOP,の5薬剤で低出生体重児においてUB/TBを増加させる傾向が認められたが,CTRX,AZTの2薬剤では体重によるUB/TBへの影響の差異は認めなかった。一方,コントロール群に比較しすべての薬剤投与時において総ビリルビン濃度は低値を示し,有意差を認めた。一方,遊離ビリルビン濃度もすべての薬剤投与時において低下傾向を示したが,その程度はわずかであることが認められた。以上の結果から,今回検討した7種の抗菌薬はビリルビンの血漿蛋白結合を阻害する傾向は認められたが,遊離形ビリルビン濃度をほとんど変化させず,新生児領域での使用は安全性が高いと思われた。

Key word

neonate, antimicrobial agent, serum bilirubin

別刷請求先

群馬県太田市八幡町29-5

受付日

平成16年7月27日

受理日

平成16年9月10日

日化療会誌 52 (10): 574-582, 2004