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書誌情報

Vol.52 No.12 December 2004

症例報告

Linezolidにより救命しえたMRSA敗血症の1例

大河内 眞也1), 五味 和紀1), 徳江 豊1,2), 菊地 利明1), 藤村 茂3), 貫和 敏博1), 渡辺 彰1)

1)東北大学加齢医学研究所呼吸器腫瘍研究分野
2)群馬大学医学部附属病院感染制御部
3)宮城大学看護学部微生物学

要旨

 Vancomycin(VCM)によるmethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)腸炎治療後に発症したteicoplanin(TEIC),arbekacin(ABK)無効かつlinezolid(LZD)著効のMRSA敗血症を経験した。症例は難治性肺炎として紹介入院し,広域スペクトラム抗菌薬の併用治療にて肺炎は改善したがMRSA腸炎を併発した。VCM内服により改善したが,続いてMRSA敗血症を発症し,急性腎不全併発のため,透析導入となった。血液から分離されたMRSAはVCM,TEIC,ABKに感受性を示し,トラフ値を参考にTEICを投与するも無効であり全身状態が悪化した。LZD投与で臨床症状は速やかに改善した。血液中のMRSAも消失したためLZD投与を中止したところ再びMRSA敗血症を併発した。トラフ値を参考にしてABKを投与したものの改善は得られず再度LZDを投与したところ今回も速やかな改善が得られた。開始前からあった腎,肝機能障害を悪化することなく使用可能であった。

Key word

linezolid, MRSA, septicemia

別刷請求先

宮城県仙台市青葉区星陵町4-1

受付日

平成16年9月22日

受理日

平成16年11月24日

日化療会誌 52 (12): 787-792, 2004