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書誌情報

Vol.52 No.12 December 2004

臨床試験

肺炎球菌感染が疑われる肺炎に対するlevofloxacin 1回200 mg,1日2回投与の有用性

二木 芳人1), 松島 敏春2), 山口 惠三3), 河野 茂4), 渡辺 彰5), 小田切 繁樹6), 青木 信樹7), 斎藤 厚8)

1)川崎医科大学呼吸器内科, 2)淳風会倉敷第一病院呼吸器センター
3)東邦大学医学部微生物教室, 4)長崎大学医学部第二内科
5)東北大学加齢医学研究所呼吸器腫瘍研究分野, 6)小田切呼吸器科クリニック
7)信楽園病院内科, 8)琉球大学医学部第一内科

要旨

 経口ニューキノロン薬であるlevofloxacin(LVFX)を用い,肺炎球菌感染が疑われる肺炎患者を対象として,1回200 mg,1日2回,7日間投与における有効性ならびに安全性の検討を行った。また有効性とAUC/MICとの相関性についても検討した。対象患者は,試験開始前に尿中の肺炎球菌抗原が陽性もしくは喀痰グラム染色により肺炎球菌の感染が疑われた軽症~中等症の肺炎患者とし,AUCの算出は,症例ごとに2点の血中濃度を測定し母集団のパラメータよりベイジアン推定法を用いて算出した。本試験に組み入れられた全71例中,臨床効果解析対象57例における有効率は93.0%(53/57)であり,そのうち肺炎球菌が培養陽性もしくは同尿中抗原が陽性であったことにより肺炎球菌性肺炎と診断された患者は46例で,その有効率は93.5%(43/46)であった。菌消失率は肺炎球菌培養陽性例で96.7%(29/30)であった。副作用は,安全性評価対象70例中17例にみられ,うち15例は軽微でLVFXの投与は継続され,2例の中等度の症例については投与を中止したが,その後速やかに回復した。LVFXに対する肺炎球菌のMICの測定が可能であった22例におけるAUC/MICは68.5±31.9(mean±S.D.)であり,うちAUC/MICが25を下回ったのは1例のみであった。
 以上の結果より,肺炎球菌感染が疑われる肺炎患者に対するLVFXの1回200 mg・1日2回投与法は,大部分の症例で十分なAUC/MICが得られ,高い臨床的有用性が期待できるものと考えられた。

Key word

levofloxacin, Streptococcus pneumoniae, PK/PD, AUC/MIC, pneumonia

別刷請求先

岡山県倉敷市松島577

受付日

平成16年8月23日

受理日

平成16年10月28日

日化療会誌 52 (12): 793-803, 2004