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書誌情報

Vol.53 No.2 February 2005

原著・基礎

化学発光法を用いた菌体内ATP測定による薬剤感受性測定

吉田 正樹1,2), 柴 孝也1,2), 細谷 龍男1)

1)東京慈恵会医科大学内科学講座, 2)同 感染制御部

要旨

 ルシフェリン・ルシフェラーゼ試薬を用いた化学発光法は菌体内ATPを短時間で測定できる。この化学発光法を用いた薬剤感受性検査も短時間で測定可能である。臨床分離株3菌種45株(MSSA 15株,MRSA 15株,Pseudomonas aeruginosa 15株)を用いて,各種薬剤中の細菌の増殖および薬剤感受性検査を測定し,標準法との比較を行った。MSSAではampicillinのMICは化学発光法と標準法での一致率は60%と低く,さらにofloxacinでは20%と低値であった。Ampicillinとofloxacinを除く薬剤では高い一致率を認めた。MRSAでは試験薬剤すべてにおいて高い一致率も認めた。P. aeruginosaでは一致率が低かった。抗菌薬の種類,細菌の種類により標準法と化学発光法の一致率に違いが認められた。抗菌薬と菌種を選べば,化学発光法による薬剤感受性検査は短時間に結果が得られ,標準法と一致率が高く,標準法の代用となりうる。標準法との乖離は認められる菌種,薬剤もあり,実際に臨床検査として臨床像に一致する検査法であるかはこれからの研究を待たなければならない。標準法より臨床経過を反映する検査法になる可能性もあり期待される。

Key word

chemiluminescent assay, ATP, Antibacterial activity

別刷請求先

東京都港区西新橋3-25-8

受付日

平成16年12月13日

受理日

平成17年1月21日

日化療会誌 53 (2): 128-133, 2005