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書誌情報

Vol.53 No.2 February 2005

原著・臨床

Gatifloxacinの急性細菌性副鼻腔炎への有用性

杉田 麟也

医療法人社団順風会杉田耳鼻咽喉科

要旨

 急性細菌性副鼻腔炎に対するgatifloxacin(GFLX)の有用性を,薬剤感受性試験,臨床効果,安全性,組織移行性から検討した。GFLX投与前に中鼻道から膿性鼻汁を採取し,分離されたStreptococcus pneumoniae 17株に対するGFLXの抗菌活性を調査したところ,MIC90は0.5 μg/mLであり,levofloxacin(LVFX),clavulanic acid/amoxicillin(CVA/AMPC),cefcapene(CFPN)のMIC90:1 μg/mLよりも強い抗菌活性を有していることが確認された。Haemophilus influenzae 10株に対しては,フルオロキノロン系抗菌薬(GFLX,LVFX)がMIC90:≦0.06 μg/mLと最も抗菌活性が強く,Moraxella catarrhalis 11株でも,フルオロキノロン系抗菌薬が最も強い抗菌活性を有していた(MIC90:≦0.06 μg/mL)。GFLXの臨床効果では,著効率は21.6%,有効率は86.3%と高く,安全性についても,全例において低血糖は認められず,重篤な副作用も認められなかった。また,膿汁中のGFLX濃度を投与1~12時間後に測定したところ,0.69~7.04 μg/gであり,今回分離されたS. pneumoniaeH. influenzaeM. catarrhalisのMIC90を十分に超える濃度が膿汁に移行しており,優れた組織移行性が認められた。
 以上のことから,GFLXは急性細菌性副鼻腔炎に対して,良好な臨床効果が期待できる薬剤であると考えられる。

Key word

gatifloxacin, acute bacterial sinusitis, nasal penetration

別刷請求先

千葉県千葉市美浜区高洲3-14-1

受付日

平成16年10月25日

受理日

平成17年1月5日

日化療会誌 53 (2): 134-141, 2005