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書誌情報

Vol.53 No.3 March 2005

原著・基礎

血液分離Enterococcus spp. のアミノ配糖体系薬高度耐性株の性状

金山 明子1), 高橋 裕子1), 内野 卯津樹1), 長谷川 美幸1), 佐藤 弓枝1), 小林 寅てつ1), 金子 明寛2)

1)三菱化学ビーシーエル化学療法研究室
2)東海大学医学部外科学系口腔外科

要旨

 Enterococcusはヒトの腸内常在菌として知られているが,日和見感染症を起こすことも報告され時には敗血症を惹起する。本菌による菌血症の治療にはアミノ配糖体薬とペニシリン系薬の併用療法が一つの治療方法として用いられている。今回は血液由来Enterococcusにおけるアミノ配糖体高度耐性(high-level aminoglycoside-resistant: HLAR)株の薬剤感受性および耐性遺伝子について検討した。
 2001年2月から2002年2月に採取された血液検体6,730検体よりEnterococcus 149株(2.2%)を検出した。内訳はEnterococcus faecalisが94株(63.1%)と最も多く,次いでEnterococcus faecium 41株(27.5%)と両菌種で90.6%を占めた。Enterococcus 149株中HLAR株は計54株(36.2%)認められ,E. faecalisの耐性率50.0%に比較しE. faeciumは4.9%と低く,菌種による差がみられた。アミノ配糖体修飾酵素遺伝子をPCRにより検索し,54株中49株(90.7%)にaac6’)-aph2”)遺伝子が検出された。また今回検討したいずれの耐性遺伝子も検出されなかった5株を用いgentamicin(GM)不活化能に関する検討を行った結果,GMの失活を認めた。これらHLAR 54株に対するpenicillin G(PCG),vancomycin(VCM),teicoplanin(TEIC),linezolid(LZD),telithromycin(TEL),gatifloxacin(GFLX)のMIC測定では,耐性株はPCG,TEL,GFLXに約4~44%認められた。今回の検討ではVCM,TEIC,LZDに対して耐性株は認められず,HLARによる感染症においてこれらは重要な治療薬となると示唆された。

Key word

Enterococcus spp., high-level resistance, aminoglycoside-modifying enzyme, gene analysis

別刷請求先

東京都板橋区志村3-30-1

受付日

平成16年10月27日

受理日

平成17年1月5日

日化療会誌 53 (3): 177-182, 2005