Vol.53 No.4 April 2005
短報
Helicobacter pyloriのclarithromycinおよびamoxicillinの経年的感受性調査
三菱化学ビーシーエル 化学療法研究室*
要旨
Helicobacter pyloriの抗菌薬による除菌療法が保険適応となった翌年から3年間(2001~2003年)に,除菌療法前の患者由来臨床検体より分離されたH. pylori 300株(各年100株)の経年的感受性推移について検討した。
その結果clarithromycin(CAM)のMIC rangeは3年間ほとんど差がみられずMIC90はいずれの年度分離株に対しても16 μg/mLとまったく変化はなかった。MIC50,MIC80も同傾向で,ほとんど変化はみられなかった。
Amoxicillin(AMPC)のMIC rangeの最小値は3年間いずれも≦0.015 μg/mLと低い値を示し,最大値は2003年が最も高く0.5 μg/mLであった。MIC50,80,90は3年間ほとんど変化がなかった。CAMに対する耐性率は2002年度の株は19%と若干高かったが,その他の年度は14~15%と差はなかった。
以上の結果からH. pylori除菌治療に保険適応が認められた翌年からの3年間でH. pyloriのCAMおよびAMPCの感受性にほとんど変化は認められなかった。
Key word
Helicobacter pylori, Drug susceptibility, clarithromycin, amoxicillin
別刷請求先
*東京都板橋区志村3-30-1
受付日
平成16年11月29日
受理日
平成17年2月7日
日化療会誌 53 (4): 277-279, 2005