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書誌情報

Vol.53 No.5 May 2005

原著・臨床

腎障害患者に対するcefepimeの用法・用量の検討

吉次 広如, 桜井 隆雄, 平岡 聖樹, 中名生 宏

ブリストル・マイヤーズ株式会社研究開発本部開発研究部

要旨

 腎排泄型薬剤であるcefepime(CFPM)の腎障害患者に対する適切な用法・用量を検討した。薬物動態に関しては,母集団薬物動態(PPK)解析法により平均的な血清中濃度推移および薬物動態パラメータを推定した。PPKモデルは体重およびCcrを共変量として含み,解析の際の患者背景については体重およびCcrを40~90 kgおよび5~50 mL/minに設定した。用法・用量はCFPM 0.5~2 gを1日1回(QD)あるいは2回(BID)の30分間静脈内点滴投与とした。血液透析患者についてはCcrを5 mL/minに設定し,透析は週3回各4時間,初回投与を1 g,以後を0.5 g QDとして,透析日には透析直後にCFPMを投与するスケジュールで1週間の血清中濃度を予測した。薬力学的効果の指標として,投与間隔のうち起炎菌のMIC値以上の血中濃度を示す時間の割合(T>MIC)を用い,Pseudomonas aeruginosaの90%最小発育阻害濃度(MIC90)値からT>MICを算出した(T>MIC90)。
 この結果,
 (1)非透析患者では,Ccrが50 mL/minを超える場合にはCFPM 2 g BID,10~50 mL/minでは0.5 g~1 g BID,10 mL/min未満では0.5 g~1 g QDの投与スケジュールで,安全性が懸念される薬物の顕著な蓄積なしに,目標とするT>MIC90に達すると考えられた。
 (2)血液透析患者では,透析を週3回各4時間とし,初回投与が1 g,以後0.5 g QDで,透析日には透析後に投与することにより,透析に伴う血清中濃度ならびにT>MIC90の低下を回避でき,十分な薬力学的効果が得られると考えられた。
 (3)体重40~90 kgの範囲では,体重による血清中濃度推移およびT>MIC90の変動の程度は血液透析および非透析患者のいずれにおいても著しいものではなく,この範囲内では用法・用量調節の必要はないと考えられた。

Key word

cefepime, population PK, renal impairment, dose

別刷請求先

東京都新宿区西新宿6-5-1 新宿アイランドタワー

受付日

平成17年2月7日

受理日

平成17年3月29日

日化療会誌 53 (5): 302-308, 2005