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書誌情報

Vol.53 No.7 July 2005

原著・臨床

成人市中肺炎に対するcefpodoxime proxetilの有効性

二木 芳人1), 川西 正泰2)

1)川崎医科大学呼吸器内科
2)医療法人社団緑壮会金田病院内科

要旨

 日本感染症学会・日本化学療法学会編集の「抗菌薬使用の手引き(以下,本手引き)」において,成人市中肺炎に対する治療指針が示されている。今回,本手引き中で,外来治療可能なI,II群に分類される細菌性肺炎に対する第一選択薬の一つとされるcefpodoxime proxetil(CPDX-PR)を用いて,一般市中病院を主体としたCPDX-PRの成人市中肺炎に対する有効性を本手引きの有効性判定指標に基づき調査するとともに,本手引きの治療指針としての適格性を検討した。
 CPDX-PR投与3~6日目の有効性判定の結果,有効性解析対象症例247例中,判定不能を除いた有効率は83.1%(133/160)であった。「有効」と判定された133例について,原則CPDX-PR投与開始7~10日目に,肺炎に対する投与終了後の効果判定を行った結果,判定不能の30例を除いた103例中102例は,「治癒・改善」であり,治癒改善率は99.0%(102/103)であった。また,「無効」と判定された27例中11例は他の抗菌薬への切替えがされずCPDX-PRの投与継続もしくは投与が終了されていた。その11例のうち判定不能の2例を除く,全例が最終的な肺炎に対する投与終了後の効果判定で「治癒・改善」であった。副作用発現症例は,安全性解析対象症例263例中,軽度のGOT,GPT上昇の1例のみであり,CPDX-PR投与中止にて速やかな回復が認められた。
 以上より,細菌性成人市中肺炎に対するCPDX-PRの高い臨床効果と安全性が確認された。また,本手引きの有効性判定は,早期に治癒・改善例を見極めるには適格であることが確認された。一方,有効性判定「無効」の症例のうち,他の抗菌薬への切替えがされずに,CPDX-PRの投与で,肺炎が治癒・改善した症例も一部認められたことより,治療薬剤の切替え基準の見直しにより,本手引きがより適格になると考えられた。

Key word

community-acquired pneumonia, cefpodoxime proxetil, efficacy

別刷請求先

岡山県倉敷市松島577

受付日

平成16年12月10日

受理日

平成17年6月14日

日化療会誌 53 (7): 403-411, 2005