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書誌情報

Vol.53 No.8 August 2005

短報

Cefdinirのヒト血清および顎骨内顎胞への移行

小俣 裕昭1), 池田 眞紀子1), 秋元 芳明1), 藤井 彰2)

1)日本大学松戸歯学部口腔外科学教室, 2)同 口腔分子薬理学教室

要旨

 顎骨内嚢胞を摘出した患者を対象とし,術前にcefdinir(CFDN)200 mgを経口投与し,血清,顎骨内嚢胞嚢胞壁,および嚢胞内容液中のCFDN濃度をペーパーディスク法で測定し,以下の結果を得た。
 1)血清中CFDN濃度のピーク時間はCFDN投与後3.5時間に認められ,平均ピーク濃度は,1.94 μg/mLであった。
 2)嚢胞壁中CFDN濃度のピーク時間はCFDN投与後3.5時間に認められ,平均ピーク濃度は,0.69 μg/gであった。またピーク時間における嚢胞壁/血清は,0.37であった。
 3)嚢胞内容液中CFDN濃度のピーク時間はCFDN投与後3.5時間に認められ,平均ピーク濃度は,0.22 μg/mLであった。またピーク時間における嚢胞内容液/血清および嚢胞内容液/嚢胞壁は,0.12および0.33であった。
 以上の結果より嚢胞壁および嚢胞内容液中の平均ピークCFDN濃度は,歯性感染症より分離されたoral streptococciのMIC80値を超えており,CFDNは口腔外科臨床上有用な抗菌薬であると推察された。

Key word

cefdinir, jaw cyst, tissue penetration

別刷請求先

千葉県松戸市栄町西2-870-1

受付日

平成17年4月20日

受理日

平成17年7月15日

日化療会誌 53 (8): 488-491, 2005