ページの先頭です
ホーム > バックナンバー > 目次 > 書誌情報
言語を選択(Language)
日本語(Japanese)English

書誌情報

Vol.53 No.S-1 July 2005

臨床試験

Doripenemの健康成人における第I相臨床試験

中島 光好1), 尾熊 隆嘉2)

1)株式会社浜松シーピーティー研究所
2)塩野義製薬株式会社新薬研究所

要旨

 健康成人男子志願者計46名を対象に,新規注射用カルバペネム系抗菌薬doripenem(DRPM)の安全性および薬物動態を検討するための第I相試験(薬物動態試験)を行った。試験内容は,1回125~1,000 mgの点滴静注による単回投与試験,1回500 mgおよび1,000 mg 1日2回6日間,計11回の点滴静注による反復投与試験および1回500 mg 1日3回1日間,計3回の点滴静注による反復投与試験であった。
 1.安全性
 単回投与試験で副作用は認められなかった。また,全試験を通じて脳波検査および理学的検査に異常は認められなかった。反復投与試験時に,自他覚所見および臨床検査値に軽度の症状や軽度の異常変動が認められたものの,臨床的に問題となるほどのものはなかった。
 2.薬物動態
 単回投与試験において,CmaxおよびAUCはDRPMの投与量に比例して増加し,本薬の体内動態の線形性が確認された。DRPMの消失半減期はいずれの投与量においても約1時間で,投与後24時間までにDRPMの未変化体として約75%が尿中に排泄された。
 反復投与試験成績から,DRPMの体内動態は,反復投与による変化はほとんどなく,蓄積性もないことが判明した。
 3.血清蛋白結合率
 測定時点ごとの平均値として5.4~15.2%であった。
 4.腸内細菌叢
 DRPM投与による変動はわずかであった。
 以上の成績から,DRPM 1,000 mgまでの投与は,安全性に問題はなく,反復投与によっても体内動態は単回投与時とほとんど変化せず,蓄積性はないことが明らかとなった。

Key word

carbapenem, doripenem, phase I clinical study, healthy volunteer

別刷請求先

静岡県浜松市助信町40-3

受付日

平成17年1月11日

受理日

平成17年3月28日

日化療会誌 53 (S-1): 104-123, 2005