Vol.53 No.S-1 July 2005
臨床試験
Doripenemの健康高齢者における第I相臨床試験
1)株式会社浜松シーピーティー研究所*
2)医療法人社団新風会丸山病院
3)塩野義製薬株式会社新薬研究所
要旨
65歳以上の健康な男子志願者6例を対象に,新規注射用カルバペネム系抗菌薬doripenem(DRPM)の第I相臨床試験(薬物動態試験)を行った。投与は1回250 mgの単回投与(0.5時間点滴静注)とし,加齢がDRPMの薬物動態に及ぼす影響を別途実施した健康成人男子(非高齢者)の成績と比較することにより検討した。併せて,高齢者におけるDRPMの安全性の評価を行い,以下の成績を得た。
高齢者と非高齢者との間で消失半減期,AUCおよび全身クリアランスに有意差が認められたものの,その差は大きなものではなく,平均血漿中濃度推移には高齢者と非高齢者との間に大きな差は認められなかった。
副作用は認められなかった。
以上の成績より,DRPM 250 mgの単回投与時の体内動態に加齢による影響はほとんどないと考えられ,高齢の感染症患者に対しても,非高齢者と同様の用法・用量で使用可能で,安全性にも問題のないことが示唆された。
Key word
carbapenem, doripenem, phase I clinical study, elderly, healthy volunteer, pharmacokinetic
別刷請求先
*静岡県浜松市助信町40-3
受付日
平成17年1月11日
受理日
平成17年3月28日
日化療会誌 53 (S-1): 124-129, 2005