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書誌情報

Vol.53 No.S-1 July 2005

臨床試験

ヒトにおけるdoripenemの薬物動態に及ぼすprobenecidの影響

柴 孝也1), 中島 光好2)

1)東京慈恵会医科大学内科学(感染制御部)
2)株式会社浜松CPT研究所

要旨

 新規注射用カルバペネム系抗菌薬であるdoripenem(DRPM)の腎排泄機序の検討を目的として,健康成人男子志願者8名を対象に,DRPM(250 mg)単独使用群とprobenecid併用使用群の2薬剤2期による非盲検のcross over単回点滴静注試験を実施した。血中濃度と尿中濃度の測定により薬物動態の違いを検討し,以下の成績を得た。
 DRPM単独使用群とprobenecid併用使用群の薬物動態パラメータの値は,Cmax:15.7±2.8 μg/mL,18.1±1.4 μg/mL,AUC:17.10±2.56 μg・h/mL,29.86±2.10 μg・h/mL,血中消失半減期:0.94±0.16 h,1.44±0.11 hであった。Probenecid併用によりCmaxおよびAUCの有意な増加(使用群間の変動に対してそれぞれp=0.0091,p<0.0001)や血中消失半減期の有意な延長が認められた(p=0.0002)。また,全身クリアランス:14.91±2.22 L/h,8.41±0.58 L/h,腎クリアランス:12.00±2.21 L/h,5.52±0.71 L/h,点滴静注開始から12時間後までの累積尿中排泄率:80.4±8.0%,65.8±8.6%の各パラメータは,probenecid併用使用によりいずれも有意に低下した(それぞれp<0.0001,p=0.0001,p=0.0017)。
 以上のように,DRPM単独使用群とprobenecid併用使用群における各薬物動態パラメータの平均値には有意差が認められ,ヒトでのDRPMの腎排泄機序は,腎糸球体濾過による排泄のみならず尿細管での分泌の関与が示唆された。

Key word

doripenem, probenecid, pharmacokinetic, healthy volunteer

別刷請求先

東京都港区西新橋3-25-8

受付日

平成17年1月11日

受理日

平成17年3月15日

日化療会誌 53 (S-1): 136-142, 2005