Vol.53 No.S-1 July 2005
臨床試験
院内肺炎に対するdoripenemの有効性および安全性評価
1)琉球大学大学院医学研究科感染病態制御学講座分子病態感染症学分野(現 日本赤十字社長崎原爆諫早病院*)
2)東北大学加齢医学研究所呼吸器腫瘍研究分野
3)塩竈市立病院呼吸器科(現 みやぎ県南中核病院呼吸器科)
4)茨城東病院呼吸器内科, 5)慶應義塾大学医学部内科(現 佐野厚生総合病院内科)
6)虎の門病院呼吸器科, 7)神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器科
8)信楽園病院内科, 9)西新潟中央病院内科
10)天竜病院内科, 11)川崎医科大学呼吸器内科
12)倉敷第一病院内科, 13)金田病院内科
14)長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染分子病態学講座
15)東邦大学医学部微生物学教室, 16)聖マリアンナ医科大学
要旨
新規の注射用カルバペネム系抗菌薬であるdoripenemの院内肺炎に対する治療効果を確認するため,44歳から95歳までの18例の症例において,探索的に有効性と安全性の検討を行った。
有効性評価対象となった15例における用法・用量は,1回500 mgの1日2回投与例が10例,1日3回投与例が3例,1回1,000 mgの1日2回投与例が1例,また,1回500 mgの1日2回投与で治療を開始し,症状の改善に伴い高齢のため1回250 mgに減量された症例が1例であった。これらの症例に対する臨床効果は,1例を除き全例有効であり,各症例において治療開始時に期待したとおりの臨床効果を得ることができた。
また,本薬剤による副作用(症状)は,1例において偽膜性大腸炎が認められたのみであり,副作用(臨床検査値)は5例において認められ,肝機能検査値における異常変動が主なものであった。
以上の検討より,本薬剤は,院内肺炎の治療薬として有用であることが示唆された。
Key word
doripenem, hospital-acquired pneumonia, clinical evaluation
別刷請求先
*長崎県諫早市多良見町化屋986-2
受付日
平成17年1月24日
受理日
平成17年2月24日
日化療会誌 53 (S-1): 205-215, 2005