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書誌情報

Vol.53 No.S-1 July 2005

臨床試験

泌尿器科領域感染症に対するdoripenemの後期第II相試験

守殿 貞夫

神戸大学医学部泌尿器科学教室

要旨

 カルバペネム系抗菌薬doripenem(DRPM)の泌尿器科領域感染症に対する有効性,安全性および用法・用量(一般臨床試験),ならびに前立腺組織への移行性(体液・組織内濃度測定試験)を検討した。
 1.有効性
 一般臨床試験における検討症例は,急性単純性腎盂腎炎1例,複雑性腎盂腎炎9例,複雑性膀胱炎11例,急性細菌性前立腺炎6例および細菌性精巣上体炎5例であった。DRPM 250 mg×2回/日,250 mg×3回/日,500 mg×2回/日のいずれかの用法・用量で3~14日間投与した結果,担当医師判定による臨床効果(有効率)は,84.4%(27/32例)であった。最も多く検討された250 mg×2回/日投与における臨床効果(有効率)は87.5%(21/24例)であった。
 また,UTI薬効評価基準(第3版)における総合臨床効果(有効率)は,複雑性尿路感染症(腎盂腎炎・膀胱炎)に対して100.0%(16/16例)であった。
 投与開始前の分離菌の消失率は,グラム陽性菌13株,グラム陰性菌21株,合計34株に対し,97.1%であった。
 2.薬物動態
 体液・組織内濃度測定試験では前立腺切除術等の手術患者を対象に,DRPM 250 mgまたは500 mgを1回投与し,投与開始60~160分後までの間に血液および前立腺組織を同時期に採取した。前立腺組織内濃度は,250 mg投与で0.76~2.23 μg/g,500 mg投与で1.04~4.51 μg/gであった。
 3.安全性
 一般臨床試験では,副作用(症状)が40例中3例(7.5%),副作用(臨床検査値)が39例中8例(20.5%)認められた。また,体液・組織内濃度測定試験での副作用(症状)は13例中すべてに認められず,副作用(臨床検査値)が12例中1例(8.3%)認められた。いずれの試験においても重篤なものは認められず,臨床上問題となるものはなかった。
 以上の結果より,DRPMは泌尿器科領域感染症に対して高い有効性と安全性を示し,また前立腺組織への薬物移行も良好で,有用性の高い薬剤であると考えられた。

Key word

doripenem, late phase II study, pyelonephritis, complication, cystitis

別刷請求先

兵庫県神戸市中央区楠町7-5-1

受付日

平成17年1月11日

受理日

平成17年2月24日

日化療会誌 53 (S-1): 216-229, 2005