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書誌情報

Vol.53 No.S-1 July 2005

臨床試験

産婦人科領域におけるdoripenemの基礎的および臨床的検討

岡田 弘二1), 保田 仁介2), 平林 光司3), 松田 静治4)

1)大阪府済生会吹田医療福祉センター
2)松下記念病院
3)医療法人社団沼南会沼隈病院
4)江東病院

要旨

 新規注射用カルバペネム系抗菌薬doripenem(DRPM)の産婦人科性器感染症に対する有用性を評価する目的で,基礎的,臨床的検討を行い,以下の結果を得た。
 1.基礎的検討(体液・性器組織内移行の検討)
 基礎的検討として,DRPM 250 mg 30分点滴静注後の性器組織内濃度と血漿中濃度,およびDRPM 250 mgまたは500 mg 30分点滴静注後の骨盤死腔液中濃度と血漿中濃度を測定した。DRPM 250 mg 30分点滴静注後(点滴開始後40~360分)における性器組織内濃度は,子宮各組織で0.33~9.89 μg/g,子宮付属器各組織で<0.20~10.6 μg/g,であり,血漿(肘静脈血)中濃度は0.80~21.5 μg/mLであった。DRPM 250 mgまたは500 mg 30分点滴静注後の最高骨盤死腔液中濃度はそれぞれ3.15~9.82 μg/mL,9.53~13.9 μg/mL,点滴終了時の血漿中濃度実測値(最高血漿中濃度)は14.0~30.8 μg/mL,26.2~50.7 μg/mLであった。
 2.臨床的検討
 総投与例数59例のうち,臨床効果判定可能症例54例(子宮内感染:9例,子宮付属器炎:10例,子宮旁結合織炎:18例,骨盤腹膜炎:14例,ダグラス窩膿瘍:3例)における有効率は88.9%(48/54例)であった。細菌学的効果は80.0%(24/30例)の消失率であった。自他覚的副作用は薬疹(1例),舌しびれ・手足のしびれ・全身倦怠感(1例)の計2例に認められたが,いずれも軽度で投与継続中に消失した。臨床検査値異常変動による副作用は11例にみられ,発現率22.0%(11/50例)であった。GOT上昇,GPT上昇などの肝機能検査値の軽度変動が主であり,重度の変動は認められなかった。
 以上の結果から,DRPMは産婦人科性器感染症に対して,有用性の高い薬剤であると考えられた。

Key word

doripenem, antibacterial activity, pharmacokinetic, gynecology

別刷請求先

大阪府吹田市川園町1-2

受付日

平成17年1月11日

受理日

平成17年2月23日

日化療会誌 53 (S-1): 273-285, 2005