ページの先頭です
ホーム > バックナンバー > 目次 > 書誌情報
言語を選択(Language)
日本語(Japanese)English

書誌情報

Vol.53 No.S-1 July 2005

臨床試験

歯科・口腔外科領域におけるdoripenemの口腔内組織移行性・有効性・安全性

佐々木 次郎1), 金子 明寛2)

1)東海大学(現 仁厚会病院口腔外科
2)同 医学部外科学系口腔外科

要旨

 新規の注射用カルバペネム系抗菌薬であるdoripenem(DRPM)の口腔内組織への移行性を検討する体内動態試験および歯科・口腔外科領域感染症を対象とした第III相臨床試験を実施し,以下の成績を得た。
 1.口腔内組織への移行性の検討(体内動態試験)
 口腔外科手術施行患者10例にDRPM 250 mgを点滴静注(30分間)し,口腔内組織への移行を検討した結果,各組織における濃度ならびに対血漿比は,歯肉0.34~2.19 μg/g,14.3~47.9%(70~105分),嚢胞0.36~1.10 μg/g,7.7~21.4%(60~75分)であった。
 2.第III相臨床試験
 1) 臨床効果
 DRPM 1回250 mg 1日2回,1回250 mg 1日3回,1回500 mg 1日2回のいずれかの用法・用量における3~7日間投与時の治験責任医師/治験分担医師による臨床効果は,顎炎において著効11例,有効2例で有効率100.0%(13/13例),顎骨周辺の蜂巣炎においても,著効6例,有効5例で有効率100.0%(11/11例)であった。
 2) 細菌学的効果
 細菌学的効果は,顎炎では13例全例消失,消失率100.0%(13/13例),顎骨周辺の蜂巣炎では,10例消失,1例不変と消失率90.9%(10/11例)であった。
 3) 安全性
 歯科・口腔外科領域感染症患者における副作用(症状)発現率は4.2%(1/24例),副作用(臨床検査値)発現率は33.3%(8/24例)であった。
 以上の成績のとおり,DRPM 250 mg点滴静注後の口腔内組織への移行は良好であり,歯科・口腔外科領域感染症患者に対してDRPM 1回250 mgまたは500 mg,1日2~3回投与により,グラム陽性菌,グラム陰性菌および嫌気性菌に対する幅広い抗菌スペクトルと強い抗菌活性を反映した臨床的有用性を示した。

Key word

doripenem, tissue concentration, dental infection, surgery site infection, efficacy

別刷請求先

神奈川県厚木市中町3-8-11

受付日

平成17年1月11日

受理日

平成17年2月22日

日化療会誌 53 (S-1): 323-331, 2005