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書誌情報

Vol.53 No.S-1 July 2005

臨床試験

敗血症と感染性心内膜炎に対するdoripenemの有効性と安全性

斎藤 厚1), 守殿 貞夫2), 横山 隆3), 山口 惠三4), 嶋田 甚五郎5)

1)琉球大学大学院医学研究科感染病態制御学講座分子病態感染症学分野
2)神戸大学医学部泌尿器科学教室
3)広島大学医学部附属病院総合診療部(現 安芸市民病院外科)
4)東邦大学医学部微生物学教室, 5)聖マリアンナ医科大学

要旨

 敗血症および感染性心内膜炎を対象として,新規の注射用カルバペネム系抗菌薬であるdoripenem(DRPM)を1回500 mg,1日2~3回点滴静注し,本薬剤の有効性と安全性の検討を行った。
 総投与症例数は11例であり,敗血症が9例,感染性心内膜炎が2例であった。敗血症の9例の内訳は,泌尿器科系の原発感染巣を有する症例が7例,外科系の原発感染巣を有する症例が2例であった。投与期間は,敗血症が3~14日間,感染性心内膜炎が28日間であった。患者状態により,治験責任医師・治験分担医師の判断で適切な投与回数が選択された結果,期待どおりの臨床所見の改善が得られ,いずれの症例においても臨床効果は「有効」となった。また,原因菌を特定し得た症例は5例であり,敗血症ではKlebsiella pneumoniaeによる単独菌感染が1例,Escherichia coliによる単独菌感染が2例,感染性心内膜炎ではStreptococcus sanguisStreptococcus vestibularisによる単独菌感染が各1例であった。いずれの症例においても,投与終了時に原因菌は消失した。
 副作用については,副作用(症状)が2例において認められ,1例では便秘が,もう1例では嘔吐と下痢が発現した。副作用(臨床検査値)は3例において認められ,ALT(GPT)上昇が1例,ALT(GPT)とγ-GTPの上昇が1例,好酸球増多が1例であった。しかし,DRPM特有の副作用はみられず,いずれも投与中または投与終了後に消失あるいは改善した。
 以上の成績から,本薬剤は1回500 mgを1日2~3回投与することにより,敗血症および感染性心内膜炎に対して,治療効果が期待できる薬剤であると考えられた。

Key word

doripenem, sepsis, endocarditis, clinical evaluation

別刷請求先

沖縄県中頭郡西原町字上原207

受付日

平成17年1月11日

受理日

平成17年3月1日

日化療会誌 53 (S-1): 332-340, 2005