Vol.53 No.9 September 2005
原著・基礎
耳鼻咽喉科領域由来の臨床分離株に対するprulifloxacinの抗菌活性
宇野耳鼻咽喉科クリニック*
要旨
2003年6月から2004年1月の間に当院を受診した耳鼻咽喉科感染症から検出された臨床分離菌のうち,coagulase negative Staphylococcus(CNS),Staphylococcus aureus,α‐Streptococcus,Streptococcus pneumoniae,Corynebacterium spp.,Branhamella catarrhalis,Haemophilus influenzaeの計7菌種に対するprulifloxacinの薬剤感受性について検討を行った。CNSに対するMIC80およびMIC90はいずれも4.0 μg/mLであり,その感受性分布は0.125 μg/mLと4.0 μg/mLに二峰性のピークをもつ分布を示していた。S. aureusに対するMIC80およびMIC90はおのおの0.5 μg/mLと8.0 μg/mLであり,その感受性分布は0.25 μg/mLと0.5 μg/mLにピークをもつ分布を示していた。α‐Streptococcusに対するMIC80およびMIC90はいずれも4.0 μg/mLであり,その感受性分布は2.0 μg/mLにピークをもつ分布を示していた。S. pneumoniaeに対するMIC80およびMIC90はいずれも2.0 μg/mLであり,その感受性分布は1.0 μg/mLと2.0 μg/mLにピークをもつ分布を示していた。Corynebacterium spp.に対するMIC80およびMIC90はおのおの8.0 μg/mLと32.0 μg/mLであり,その感受性分布は0.5 μg/mLと32.0 μg/mLに二峰性のピークをもつ分布を示していた。B. catarrhalisに対するMIC80およびMIC90はいずれも0.125 μg/mLであり,その感受性分布は0.125 μg/mLにピークをもつ分布を示していた。H. influenzaeに対するMIC80およびMIC90はいずれも0.031 μg/mLであり,その感受性分布は0.031 μg/mLにピークをもつ分布を示していた。他のニューキノロン系抗菌薬と比較するとグラム陽性菌に対しては,最も感受性が良好であったgatifloxacin(GFLX)を除く,ciprofloxacin(CPFX),levofloxacin(LVFX)とほぼ同等の感受性を示しており,また,グラム陰性菌に対しては,GFLX,CPFX,LVFXとほぼ同等の感受性を示しており,耳鼻咽喉科領域の感染症からの検出菌に対してはほぼ全般的に有効性が期待できるものと考えられた。
Key word
prulifloxacin, otorhinolaryngological infection, clinical isolat organism, MIC
別刷請求先
*岡山県岡山市富原3702-4
受付日
平成17年7月6日
受理日
平成17年8月19日
日化療会誌 53 (9): 512-525, 2005