Vol.53 No.9 September 2005
臨床試験
下気道感染症に対するceftazidimeを対照とするcefozopranの市販後臨床試験
1)多根病院内科*, 2)杏林大学医学部第一内科および関連施設
3)旭川医科大学第一内科および関連施設
4)独立行政法人 国立病院機構函館病院呼吸器科
5)帯広厚生病院第一内科, 6)水戸協同病院内科
7)岩手医科大学第三内科および関連施設
8)東北大学加齢医学研究所呼吸器腫瘍研究分野および関連施設
9)仙台厚生病院内科, 10)福島県立会津総合病院呼吸器内科
11)水原郷病院内科, 12)信楽園病院内科
13)独立行政法人 国立病院機構西新潟中央病院呼吸器科
14)厚生連高岡病院内科, 15)虎の門病院呼吸器科
16)同愛記念病院内科, 17)東京共済病院内科
18)東京慈恵会医科大学内科第二および関連施設, 19)三宿病院呼吸器内科
20)聖路加国際病院内科, 21)公立昭和病院呼吸器科
22)独立行政法人 国立病院機構東京病院呼吸器科, 23)北里研究所病院呼吸器内科
24)聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター
25)聖マリアンナ医科大学東横病院内科
26)聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院呼吸器内科
27)神奈川県衛生看護専門学校付属病院内科
28)神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器科
29)横浜市立大学医学部第一内科, 30)関東労災病院呼吸器内科
31)聖隷三方原病院呼吸器内科, 32)共立湖西総合病院呼吸器科
33)名古屋市立東市民病院第四内科, 34)名古屋掖済会病院呼吸器科
35)愛知県厚生農業協同組合連合会更生病院呼吸器科, 36)岐阜市民病院呼吸器科
37)独立行政法人 国立病院機構京都医療センター呼吸器科
38)関西医科大学洛西ニュータウン病院内科
39)近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科
40)近畿大学医学部堺病院呼吸器科, 41)市立貝塚病院内科
42)大阪警察病院呼吸器科, 43)大阪府立急性期・総合医療センター内科
44)結核予防会大阪病院内科, 45)奈良県立医科大学第二内科
46)奈良県立奈良病院内科, 47)天理よろづ相談所病院呼吸器内科
48)川崎医科大学呼吸器内科, 49)川崎医科大学附属川崎病院内科
50)産業医科大学呼吸器科, 51)九州大学医学部第一内科
52)独立行政法人 国立病院機構福岡東医療センター呼吸器科
53)早良病院内科・愛風会さく病院内科, 54)福岡大学医学部第二内科
55)久留米大学医学部第一内科および関連施設
56)独立行政法人 国立病院機構大牟田病院内科
57)長崎大学医学部第二内科および関連施設
58)長崎大学熱帯医学研究所内科および関連施設
59)大分大学医学部第二内科および関連施設
60)琉球大学医学部第一内科および関連施設
61)川崎医療福祉大学医療福祉学科, 62)浜松CPT研究所
要旨
注射用セフェム系抗菌薬cefozopran(CZOP)の下気道感染症に対する早期治療効果を評価するため,ceftazidime(CAZ)を対照薬とした比較試験を市販後臨床試験として実施した。CZOPとCAZはともに1回1 g(力価),1日2回点滴静注により7日間投与し,以下の結果を得た。
1.総登録症例412例中最大の解析対象集団376例の臨床効果は,判定不能3例を除くとCZOP群92.0%(173/188),CAZ群91.4%(169/185)の有効率で,両側90%,95%信頼区間ともに非劣性であることが検証された。細菌性肺炎と慢性気道感染症に層別した有効率は,それぞれCZOP群90.9%(120/132),94.6%(53/56),CAZ群93.3%(126/135),86.0%(43/50)で,両側90%,95%信頼区間ともに非劣性であることが検証された。
2.原因菌が判明し,その消長を追跡し得た210例での細菌学的効果は,CZOP群89.5%(94/105),CAZ群90.5%(95/105)の菌消失率(菌消失+菌交代)で,両群間に有意な差はみられなかった。個々の菌別の菌消失率は,CZOP群91.1%(113/124),CAZ群90.8%(108/119)で両群間に有意な差はみられなかったが,最も高頻度に分離されたStreptococcus pneumoniaeの消失率はCZOP群100%(42/42),CAZ群89.5%(34/38)で,CZOP群がCAZ群に比し有意に優れ(p=0.047),投与5日後においてもCZOP群がCAZ群に比し有意に高い菌消失率を示した(p=0.049)。
3.投薬終了時に,CZOP群では52.4%(99/189),CAZ群では50.3%(94/187)の症例において治療目的が達成され,抗菌薬の追加投与は不必要であった。治療目的達成度に関して両薬剤間に有意な差は認められなかった。
4.随伴症状の発現率はCZOP群3.9%(8/206),CAZ群5.0%(10/202)で両薬剤間に有意な差はなかった。臨床検査値異常変動として,CAZ群に好酸球増多がCZOP群より多数認められたが,臨床検査値異常出現率としては,CZOP群31.6%(65/206),CAZ群32.2%(65/202)で,両群間に有意な差は認められなかった。
以上の成績から,CZOPは臨床効果においてCAZと比較して非劣性であることが検証された。またS. pneumoniaeによる下気道感染症に対するCZOPの早期治療効果が確認された。
Key word
cefozopran, ceftazidime, lower respiratory tract infection, therapeutic effect, post-marketing clinical study
受付日
平成17年6月30日
受理日
平成17年8月19日
日化療会誌 53 (9): 526-556, 2005