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書誌情報

Vol.53 No.S-2 November 2005

総説

Voriconazoleの抗真菌活性

山口 英世

帝京大学医真菌研究センター

要旨

 Voriconazole(VRCZ)は,広い抗真菌スペクトルをもつ新世代のアゾール系抗真菌薬であり,他のアゾール系薬と同様に,真菌のエルゴステロール合成を選択的に阻害することによって抗真菌活性を発揮する。本報では,ファイザー社ならびにわれわれの研究グループがfluconazole(FLCZ)およびitraconazole(ITCZ)を対照薬に用いて行ったVRCZのin vitroならびにin vivo抗真菌活性評価試験のデータを中心に関連する報告をまとめ,レビューする。Candida spp. (FLCZ低感受性菌種C. glabrataおよびC. kruseiを含む),Cryptococcus neoformansその他の酵母に対するVRCZのin vitro活性は,FLCZを上回り,ITCZと同程度であった。またAspergillus spp. その他の糸状菌に対しては殺菌的な強いin vitro活性を示した。VRCZのin vivo活性評価は,モルモットを用いて作成したAspergillus fumigatusによる全身性および侵襲性肺アスペルギルス症,ならびにFLCZ耐性Candida albicansおよびC. kruseiによる全身性カンジダ症の各動物モデルでの治療効果に基づいて行った。対照薬としては前二者のアスペルギルス症モデルでの試験にはITCZを,後二者のカンジダ症モデルでの試験にはITCZとFLCZをおのおの使用した。その結果,いずれの動物モデルにおいてもVRCZは,感染動物の生存率,真菌学的治癒率および(または)感染組織内残存生菌数の点で,同じ用量またはより高用量の対照薬を凌ぐ有効性を示した。したがってVRCZは侵襲性または播種性病型を含む種々の深在性真菌症の有用な治療薬となることが期待される。

Key word

voriconazole, new-generation azole antifungal agent, in vitro antifungal activity, selective action mechanism, in vivo antifungal activity

別刷請求先

東京都八王子市大塚359

受付日

平成17年7月8日

受理日

平成17年8月22日

日化療会誌 53 (S-2): 8-15, 2005