Vol.53 No.S-2 November 2005
総説
血液疾患領域でのvoriconazoleの位置づけ
帝京大学溝口病院第4内科*
要旨
わが国における急性骨髄性白血病患者の調査においても,また造血幹細胞移植においても,アスペルギルス属,カンジダ属を中心とした真菌感染症がみられ,その死亡率の高さが問題となっていた。
アンケート調査によると,白血病における抗真菌薬療法においては,予防的投与ではamphotericin B(AMPH-B)とfluconazole(FLCZ)が,経験的治療においてはFLCZが主に用いられていた。またアスペルギルス症の標的治療ではAMPH-Bが主に用いられていたが,AMPH-Bの副作用を考慮してか,必ずしも十分量を投与されているとはいいがたい状況であった。Voriconazoleは,FLCZと類似の構造をもつ新規のアゾール系抗真菌薬で,FLCZ低感受性または非感受性のカンジダ属や,アスペルギルス属,クリプトコックス症など幅広く強力な抗菌活性を有する。今後,特に経験的治療や,カンジダ属,アスペルギルス属に対する標的治療薬として期待される。
Key word
voriconazole, hematology, aspergillus, prophylaxis, empiric therapy, targeted therapy
別刷請求先
*神奈川県川崎市高津区溝口3-8-3
受付日
平成17年7月8日
受理日
平成17年9月27日
日化療会誌 53 (S-2): 51-55, 2005