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書誌情報

Vol.54 No.1 January 2006

原著・臨床

市中呼吸器感染症における非定型病原体の疫学調査

平潟 洋一1,2), 渡辺 彰3), 二木 芳人4), 青木 信樹5), 河野 茂2)

1)長崎大学医学部・歯学部附属病院検査部
2)長崎大学医学部第二内科, 3)東北大学加齢医学研究所呼吸器腫瘍研究分野
4)川崎医科大学呼吸器内科, 5)信楽園病院内科

要旨

 呼吸器感染症の初診時における,非定型病原体(Chlamydophila pneumoniaeChlamydophila psittaciMycoplasma pneumoniaeLegionella pneumophila)の関与率を血清抗体価および尿中抗原検出により検討した。
 2003年4月から6月に全国4地域(長崎,岡山,新潟,仙台)の開業医院59施設を呼吸器感染症(肺炎,気管支炎,咽頭・喉頭炎,扁桃炎)で受診した20歳以上の初診外来患者532症例を解析対象とした。
 非定型病原体の血清抗体価が陽性であったのは532例中99例(19%)であり,陽性率の内訳はC. pneumoniae 70例(13.2%),C. psittaci 12例(2.3%),C. pneumoniaeC. psittaciの混合感染8例(1.5%),M. pneumoniae 8例(1.5%),M. pneumoniaeC. psittaciの混合感染1例(0.2%)であった。L. pneumophilaは全例で血清抗体価は陰性で,尿中抗原も陰性であった。また,各疾患における非定型病原体陽性率は肺炎19.2%(5/26例),気管支炎19.9%(36/181例),咽頭・喉頭炎18.6%(39/210例),扁桃炎22.2%(12/54例),その他疾患が重複している症例では11.5%(7/61例)であった。非定型病原体ごとの年齢分布に明らかな差はみられなかった。C. psittaciの陽性率が4%と従来の報告に比べて高かったが,患者年齢,地域に一定の傾向はみられず鳥類飼育者は21例中2例のみであった。

Key word

atypical pathogen, respiratory infection, epidemiological study

別刷請求先

長崎県長崎市坂本1-7-1

受付日

平成17年10月19日

受理日

平成17年12月6日

日化療会誌 54 (1): 25-30, 2006