Vol.54 No.1 January 2006
短報
Mycobacterium aviumに対するマクロファージの殺菌能における抗菌薬とキチン・キトサン・キトサンオリゴ糖の併用効果
島根大学医学部微生物・免疫学*
要旨
Mycobacterium avium complex(MAC)感染症は抗菌化学療法に抵抗性であり,新しい治療レジメンの開発が望まれている。今回はキチン,キトサンおよびキトサンオリゴ糖のマウス腹腔マクロファージ(MΦ)内感染MAC菌に対するclarithromycin(CAM)/rifampicin(RFP)の抗菌活性発現に及ぼす効果について検討した。その結果,キチン単独ではMΦ内MAC菌の増殖能に影響を与えなかったが,キチンをCAM/RFPと併用した場合にはCAM/RFPの殺菌能の増強がみられた。同様な効果はキトサンでも認められたが,キトサンオリゴ糖では認められなかった。次に,MAC全身感染モデルマウスに対するキチン・キトサン(経口投与)とCAM/RFP(皮下投与)の感染治療実験を試みたが,CAM/RFPのin vivo治療効果を増強させるような活性は認められなかった。したがって,別の治療レジメンを考える必要があるものと思われる。
Key word
Mycobacterium avium, macrophage, chitin, chitosan
別刷請求先
*島根県出雲市塩冶町89-1
受付日
平成17年9月29日
受理日
平成17年12月1日
日化療会誌 54 (1): 39-42, 2006