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書誌情報

Vol.54 No.2 March 2006

原著・基礎

化学発光および呈色試薬を用いたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌に対するlinezolidの抗菌活性の評価

小松 充孝1), 田島 裕2), 伊藤 輝代2,3), 山城 雄一郎1), 平松 啓一2,3)

1)順天堂大学医学部小児科学教室
2)順天堂大学大学院医学研究科感染制御科学科
3)順天堂大学医学部細菌学教室

要旨

 Vancomycin(VCM)に対して感受性が低下したmethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)の分離株が増加している現在,その対策は急務である。われわれは多剤耐性グラム陽性菌に対処する抗菌薬として開発されたオキサゾリジノン系薬であるlinezolid(LZD)のVCM低感受性株に対する効力を,従来の微量液体希釈法によるMICの測定に加えて,化学発光および呈色試薬を用いた菌の代謝活性を測定する方法で評価した。微量液体希釈法で測定したLZDのMICは,既知のLZD低感受性株を除きVCMに対する耐性度(MIC=0.5~8 μg/mL)にかかわらずすべて0.5~3 μg/mLの範囲内であった。化学発光法を用いて菌の代謝活性を測定した場合,薬剤濃度の上昇に伴って化学発光強度の急峻な低下がみられ,LZDは短時間で菌の代謝活性を抑制する効果をもつことが確認された。LZDの殺菌力は弱く,作用はほとんど静菌性と判断されたが,呈色試薬alamaBlue®を用いた実験では,代謝抑制の時間経過がほぼVCMと同様であり,初期効果としては遜色ないと思われた。以上の結果より,LZDはMRSAに対して強力な抗菌活性を有しており,VCMを用いた治療に抵抗するMRSA感染症に対しても効果が期待できると思われた。

Key word

methicillin-resistant Staphylococcus aureus, chemiluminescence assay, antimicrobial susceptibility test, vancomycin, linezolid

別刷請求先

東京都文京区本郷2-1-1

受付日

平成17年9月7日

受理日

平成18年1月10日

日化療会誌 54 (2): 102-110, 2006